記事登録
2008年11月20日(木) 00時11分

現役世代に年金保険料補助 社会保障審議会が改革案中国新聞

 厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会は十九日、年金部会を開き、将来の年金制度改革に向けた中間報告をまとめた。報告書は八項目からなり、低年金や低所得者対策として、現役世代の保険料補助や、単身高齢者らを対象にした給付加算などを盛り込んだのが特徴だ。

 厚労省は政府、与党で検討している税制改革の中期プログラムも踏まえ、報告書の内容に沿った関連法案の国会提出を目指す考えだ。ただ報告書は、必要財源の総額などは示していない。

 無年金や低年金への取り組みを最優先課題と位置付け、低所得の現役加入者の保険料を一部公費で補助し、基礎年金を将来満額(現在月額六万六千円)受け取れるようにする案を提示。単身高齢者らへの給付加算では、所得に応じて加算額に差をつけるかどうかを課題に挙げた。

 年金を受け取るための最低加入期間(現在二十五年)については「十年程度とすることも考えられる」と言及。滞納した保険料の追納を時効期限の二年間に限らず、五—十年間認めることを提案した。

 国民年金では、二十—六十歳の加入年齢を二十代前半はまだ学生の人が多いことから、二十五—六十五歳に引き上げる案を提示。育児中の保険料免除の導入も検討課題に挙げた。

 厚生年金では、働く高齢者の年金額を減らす「在職老齢年金」の減額措置を緩和する考えを示した。そのための財源確保策として、保険料算定の基礎となる標準報酬月額の上限(六十二万円)を引き上げ、高給の人の保険料負担を増やす考えを提示。パート労働者に対する加入拡大も挙げた。

 この日の会合で委員らは、元厚生次官ら連続殺傷事件に関し「議論がいささかも影響されてはならない」との認識で一致、予定通り報告書を取りまとめた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811200113.html