記事登録
2008年11月20日(木) 08時07分

【Re:社会部】忘れられない「子殺し」産経新聞

 忘れられない事件があります。3年ほど前、泊まり勤務のときに配信された通信社の原稿で知りました。千葉市で起きた6歳と4歳の兄弟が実母に刺殺された事件の判決でした。兄弟が騒ぐので包丁を持ち出して怒鳴ると、「お母さんのバカ」と言われ逆上、胸を刺して殺したひどい事件でした。

 当時、私は大阪に単身赴任中。長男は兄弟と同じ年ごろでした。兄弟が哀れで、涙が止まりませんでした。判決もわずか懲役9年。

 怒り心頭で妻に電話すると、「刺したお母さんの気持ちも少しだけ分かる」と返ってきました。

 実は長男は当時、注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断されていました。保育園児のころ、動物園に遠足に行き、ライオンバスを見て興奮し、前にいた子供たちを突き飛ばしたと妻から電話を受けました。「もういやになった」。妻は追い詰められていたのです。すべてを任せきりにしていたのを反省しました。今は小3。周りのサポートもあり、楽しく学校生活を送っています。

 9月に福岡で母親に絞殺された小1の富沢弘輝君(6)もADHDと診断されていました。母親は「育児に疲れた」と供述しています。育児は大変ですが、親に殺されていい道理はありません。

 通信社の原稿の最後にはこう書かれていました。「長男は亡くなる間際、『お母さん、ごめんなさい』と言ったという」…。(玄)

【関連記事】
【衝撃事件の核心】「悲劇の母」か「鬼畜」か…福岡小1男児殺害の容疑者が明かした動機の“真実味”
7冠フェルプス「怪物ストーリー」
ガトリンの聴聞会終了、裁定は6月6日 陸上
川崎虐待死 保育園が児童相談所に「虐待では?」と相談
4歳女児虐待事件、同居の男に懲役3年6月 京都地裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081120-00000098-san-soci