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2008年11月19日(水) 01時10分

元厚生次官狙い連続テロか 東京でも妻刺され重傷東京新聞

 18日午後6時半ごろ、東京都中野区の元厚生事務次官吉原健二さん(76)宅の玄関前で、妻の靖子さん(72)が宅配便を装った男に胸などを刺され重傷を負った。同日午前、さいたま市南区の自宅玄関で死亡していた元厚生事務次官の山口剛彦さん(66)と妻美知子さん(61)について、埼玉県警は殺人事件と断定。山口さん方でも犯人が宅配便と偽り玄関に侵入した疑いがあり、警察庁は旧厚生省幹部を狙った連続テロの可能性があるとみて、全国の警察に関係者の警備強化を指示した。

 官僚トップ経験者を狙った連続テロとみられる事件は戦後初めて。警視庁は野方署に、埼玉県警は浦和署にそれぞれ捜査本部を設置した。警察庁は19日、警視庁と埼玉県警の捜査幹部を集め、合同捜査会議を開く。

 厚生労働省によると、現在の基礎年金制度を創設した1985年の年金法改正時、吉原さんが年金局長を、山口さんが年金課長をそれぞれ務めていた。厚労省は歴代の事務次官、社会保険庁長官、年金局幹部の身辺警戒を警察庁に要請。庁舎入り口と大臣官房のあるフロアの警備員を19日から増やすことを決めた。

 警視庁によると、靖子さんを刺した男は身長約160センチ、30歳ぐらいで、野球帽をかぶっていた。靖子さんは「宅配便です」の声がして、玄関を開けたところ、いきなり胸など数カ所を刺された。政府関係者によると、救急車内では意識があり「主人が狙われているかもしれない」と話したという。警視庁は殺人未遂容疑で男の行方を追っている。現場から凶器は見つかっていない。

 吉原さんは年金局長や社会保険庁長官を経て88年6月から90年6月まで厚生事務次官を務めた。靖子さん、息子と3人暮らしだが、当時は外出しており無事だった。

 一方、埼玉県警によると、山口さんと美知子さんの胸にはそれぞれ鋭利な刃物で刺されたとみられる数カ所の刺し傷があった。山口さんの腕には、抵抗した際にできたとみられる傷もあった。遺体の状態などから、県警は17日深夜までに殺害された可能性が高いとみており、19日に2人の遺体を司法解剖し、死因を調べる。

 血痕の付いた足跡が山口さん方付近の路上に残っており、犯人は徒歩で逃走したとみられる。

 調べでは、山口さんはシャツにズボン、美知子さんはセーターにスカートの普段着姿。2人とも靴下をはいた状態で、靴ははいていなかった。室内に目立った物色の跡はなく、玄関以外に血痕がなかった。

 山口さん夫妻は2人暮らし。埼玉県内に住む長男(36)と東京都在住の次男(33)が18日午後に浦和署を訪れ、遺体を確認した。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008111801000668.html