記事登録
2008年11月19日(水) 15時16分

歴代次官宅、警戒物々しく…厚労省には金属探知機読売新聞

 旧厚生省の山口剛彦(66)、吉原健二(76)両元事務次官宅が相次いで襲われた事件を受け、19日朝、歴代の厚生・厚労次官宅などには警察官が配備され、物々しい警戒体制が敷かれた。

 東京・霞が関の官庁街も緊張に包まれた。厚生労働省には玄関に金属探知機が設置され、いつもは電車で通勤する幹部に公用車の迎えが出た。各省幹部らからは「行政へのテロだとしたら許せない」と憤りの声が上がる一方、「犯人の矛先がどこに向いているのか」と不安も漏れた。

 昨年8月に退官した前次官、辻哲夫さん(61)の自宅には19日午前8時頃、管轄する警察署の警備課長が訪れ、今後の予定などを聞き取った。課長は「不審者などがいたら、すぐ連絡するようお願いした。外出時の警備体制など、これから早急に決めたい」と語った。自宅前には18日夜から、赤色灯をつけたパトカー2台が待機。さすまたなどを持った制服警察官ら4人が警戒にあたり、緊張感に包まれていた。

 東京都内に住む次官経験者の一人は19日、再就職先の外郭団体への出勤を見合わせた。「退官後、身の危険を感じることは全くなかった。妻には宅配業者などには応対しないよう伝えている」と動揺を隠せない様子で話した。

 亡くなった山口元次官の1期後輩の元次官、近藤純五郎さん(65)は、警察官が巡回する都内の自宅マンション入り口で「悪い夢でも見ているようだ。こんなことがあっていいのか」と沈痛な面持ちで語った。

 警視庁によると、通常は現職閣僚の自宅は警備対象としているが、次官経験者の自宅警備は行っていないという。

 ◆入院先にも警官を配置◆

 吉原元次官の妻の靖子さん(72)が運ばれた東京都内の病院によると、靖子さんは手術後、救命救急センターの集中治療室(ICU)に収容された。吉原元次官らは控室で回復を見守っているという。同センターでは入り口に警察官を配置するなどして警戒している。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081118-5344510/news/20081119-OYT1T00450.htm