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2008年11月19日(水) 03時03分

元厚生次官宅、連続テロ…都内では妻刺され重傷読売新聞

現場検証する捜査員ら(18日午後8時40分、東京都中野区上鷺宮で)=安川純撮影

 18日午後6時30分ごろ、東京都中野区上鷺宮2の元厚生事務次官で社会保険庁長官も務めた吉原健二さん(76)方で、妻の靖子さん(72)が宅配便業者を装った男にいきなり腹など数か所を刺された。

 ◆宅配便業者を装った野球帽の男◆

 靖子さんは通行人に発見され、病院に搬送されたが、重傷。男は逃走した。同日朝には同じく元厚生事務次官の山口剛彦(たけひこ)さん(66)夫妻がさいたま市内の自宅で刃物で殺害されているのが見つかっており、手口に共通点があることから、警察庁は、厚生労働省の次官経験者を狙った連続テロの可能性があるとみて、両事件の関連性を捜査するよう警視庁と埼玉県警に指示した。

 同庁幹部によると、靖子さんを刺した男は身長約1メートル60、30歳くらいの中肉。野球帽をかぶっていた。

 ◆搬送中「狙われているかも」と◆

 靖子さんは自宅に1人でいたところ、男に「宅配便です」と言われて呼び出され、玄関先に出たところで胸など数か所を突然、刃物で刺された。靖子さんは路上に助けを求めに出て、家から数メートル離れた場所で倒れているところを通りかかった専門学校生(27)に発見され、救急搬送された。その際、靖子さんは「主人が狙われているかもしれない。危ない」と話したという。

 吉原さん方は、靖子さんと息子の3人暮らしで、吉原さんと息子の2人は外出していて無事だった。

 一方、さいたま市南区の山口さん夫妻が殺害された事件では、室内は物色された跡がなく、2人の衣服に乱れがないことが埼玉県警幹部の話でわかった。

 同県警幹部によると、山口さんと妻の美知子さん(61)は玄関内で並ぶように倒れ、深い刺し傷が複数あった。玄関にカギはかかっておらず、凶器は見つかっていない。玄関や他の部屋は荒らされていなかった。2人とも普段着姿で靴は履いておらず、服装にも目立った乱れはなかった。

 2人の遺体が発見された18日午前10時15分ごろには血だまりの一部が固まり、死後硬直も始まっており、死後少なくとも数時間が経過していたとみられる。同県警は17日夕から18日早朝にかけて殺害されたとみている。山口さん、吉原さんはともに厚生省年金局長を務めるなど年金問題のエキスパートで、山口さんは1996年から99年まで厚生事務次官。吉原さんは88年から90年まで同次官だった。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081118-5344510/news/20081118-OYT1T00686.htm