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2008年11月19日(水) 14時52分

利用者「犯行許せぬ」 東海地方の社保事務所東京新聞

 歴代の元厚生次官宅を狙った連続襲撃事件の発覚から一夜明けた19日、東海地方の社会保険事務所は万一の事態に備え、窓口職員に警戒を呼び掛けた。利用者からは「人の命を奪う行為は許せない」と憤りの声も聞かれ、言いようのない不安が広がっている。

 名古屋市中区の鶴舞社会保険事務所では、朝の庁内会議で事件に触れた。窓口職員が暴力被害に遭う最悪の事態も危惧(きぐ)されるとして、幹部が落ち着いて対応するよう指示。身の危険を感じたらすぐ上司に連絡することも確認した。

 竹下充昭庶務課長は「年金行政の不祥事で迷惑をかけているが、テロといった暴力に訴えた行為なら憤りを感じる」と話した。

 「職員を不安にさせるのはよくないが、ものものしい警備で利用者と隔てるわけにもいかない」と対応に苦慮するのは、岐阜南社会保険事務所の松元洋所長。三重社会保険事務局の井田長已総務課長は「(事件が)不祥事と関係があるかは分からない。早く(真相を)明らかにしてほしい」と話した。

 利用者からは襲撃事件という卑劣な行為への怒りの声が続々。年金関連の申請書類の確認のため鶴舞社会保険事務所を訪れた昭和区の会社員男性(59)は「年金問題と関係があるとしても、人の命を奪う行為は絶対に許されない」と話した。

 「元次官を殺したって仕方ない。政府にしっかり仕事をしてもらうことが大事」と話したのは、妻の年金記録の確認に岐阜南社会保険事務所を訪れた岐阜市内の無職男性(84)。

 津社会保険事務所を訪れた年金受給者の60代の女性は「年金への不満があったのかもしれないが、引退した人を狙ったのはおかしい」と話した。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008111990145217.html