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2008年11月19日(水) 12時08分

「連続テロ」見えぬ動機 移動や凶器に多くの謎中国新聞

 元厚生事務次官二人の自宅が相次いで襲われた事件は、官僚時代に年金制度改革に奔走した共通の経歴や似通った手口から、厚生行政に絡む連続テロとの見方が強まっている。だが動機を明らかにする犯行声明などは確認されておらず、移動手段や被害者宅の特定方法など未解明な点も多い。

 十八日午前、さいたま市南区の自宅玄関で発見された山口剛彦やまぐち・たけひこさん(66)夫妻の遺体。いずれも胸を鋭利な刃物で複数回刺されていたが、普段着姿で着衣に乱れはなかったほか、室内に荒らされた形跡はなかった。金や物品目的の犯行をにおわせる状況は見られない。

 東京都中野区にある吉原健二よしはら・けんじさん(76)の自宅にいた妻靖子やすこさん(72)が、宅配便を装った男に胸などを刺されたのは同日夜。襲われたのはやはり玄関前で、野球帽の男はそのまま逃げ、家の中には入り込まなかった。

 山口さんと吉原さんは旧厚生省在勤時、年金局で現行年金制度の基礎作りに携わっており、動機との関連が浮かんだが、テロ事件で犯行を誇示するために容疑者が報道機関へ送る声明は届いておらず、インターネット上での予告も確認されていない。

 一方、二カ所の現場は十キロ余り離れており、単独犯だった場合、どうやって移動し、未発見の凶器をどう処理したのかも分かっていない。さらに、自宅をどうやって割り出したかも不明だ。

 いずれも住所検索サイトが掲載、旧厚生省の名簿などがなくても特定は可能だが、同姓同名の別人が住む可能性もあり、現場の下見や顔写真の確認など事前に入念な準備をしたとみられる。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811190142.html