記事登録
2008年11月19日(水) 06時03分

警視が飲酒当て逃げ…撲滅運動も担当「交通のプロ」スポーツ報知

 茨城県警は17日夜、同県稲敷市で酒に酔った状態で車を運転したとして道交法違反の現行犯で、警視庁総務部施設課管理官の警視・日高幸二容疑者(50)を逮捕した。容疑者は交通課長などを務めた幹部警察官で、過去に飲酒運転対策も担当した「交通のプロ」。大阪の飲酒死亡ひき逃げ事件などで飲酒運転への批判が高まる中の出来事に、身内の警察からも「よりによってこんな時期に」「現場の士気が落ちる」と批判の声が上がっている。

 ひき逃げ事件続発で、社会的に飲酒運転へ厳しい目が注がれる中、取り締まる側の不祥事が明らかになった。

 日高容疑者は警視庁の中枢部門に勤務した幹部で、築地署交通課長など交通捜査に通じていた。06年に東京都に出向し交通安全対策担当課長として飲酒運転防止などを担当。「飲酒運転させない宣言の店」などと書かれたステッカーを作製。飲食店や酒店などに配り、飲酒運転撲滅キャンペーンの旗振り役となっていた。今年3月、警視庁に戻り、現所属先に配属された。

 茨城県警の調べでは、日高容疑者は17日午後7時25分ごろ、茨城県稲敷市の県道で酒に酔った状態で車を運転した疑い。その際、前を走っていた車に接触し、逃走。被害者に追跡され、最初の事故現場から約2キロ離れた道路脇の田んぼに落ちて自損事故を起こした。

 逮捕時、同容疑者は受け答えはしっかりしていたが、顔が紅潮し酒臭い状態で足元がふらついていた。呼気1リットル当たり0・6ミリグラム以上のアルコールを検出され、道交法の酒気帯び運転を適用する基準値(0・15ミリグラム)の4倍を超えた。

 警視庁によると、日高容疑者は事故を起こした17日は休暇を取り、施設課の同僚十数人と稲敷市の霞ケ浦近くの和田公園のキャンプ場で開いた1泊2日のレクリエーションに参加。バーベキュー大会が始まった午後3時半ごろから酒を飲み始めた。

 缶ビールや酎ハイを数本飲んだ。公園内で宿泊予定だったが、午後7時すぎから行方が分からなくなり、同僚は「車の中で寝ていると思った」と話すなど誰にも言わず、帰宅したようだ。

 茨城県警の調べでは、事故30分前まで飲酒していた日高容疑者は「妻の両親の具合が悪くなり自宅に帰らなければならないと思った」と供述。当初は「酒は飲んだが、事故を起こした記憶はない」と話していたが、「逃げたのではなく、駐車する場所を探していた」と供述を一転したという。

 大阪でのひき逃げ死亡事件が起きたばかり。警視庁は懲戒免職も視野に入れ、日高容疑者の処分を検討していく。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081119-OHT1T00109.htm