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2008年11月19日(水) 22時40分

大手損保、5社最終減益 自動車保険は全社減収産経新聞

 大手損保6社の平成20年9月中間連結決算が19日、出そろった。世界的な金融危機による市場の混乱で運用資産にからむ損失や破綻(はたん)企業への保険金支払いが増えたほか、新車販売の不振で主力の自動車保険の販売も低迷し、日本興亜損害保険を除く5社が最終減益に見舞われた。

 一般企業の売上高にあたる正味収入保険料は、景気低迷や、4月から自賠責保険の保険料が大幅に引き下げられた影響で、東京海上ホールディングス(HD)を除く5社で減少した。収入保険料の半分近くを占める主力の自動車保険は全社が減収となった。

 また昨年6月の改正建築基準法施行の影響で住宅着工戸数が落ち込み、火災保険も振るわなかった。世界的な不況に伴う米国向けの自動車輸出の低迷で、貨物向けの海上保険も落ち込んだ。

 利益面では、有価証券評価損に圧迫され、東京海上HDが310億円、三井住友海上グループHDが450億円の損失を計上した。さらに三井住友海上HDは、英国子会社の企業向け信用保険で400億円の支払いが発生し、業績の足を引っ張った。

 21年3月期業績予想でも、損害保険ジャパンが、米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)関連の保険金支払いや有価証券の評価損により通期で1430億円の損失が発生するとして、最終損益を従来予想の540億円の黒字から520億円の赤字に大幅に下方修正した。

 東京海上HDの本田大作専務は「分散投資の意味で、海外で積極運用してきたことで大きな影響が出た」としており、海外事業を積極的に進めてきた会社ほど金融危機の影響を強く受けた。

 しかし、国内市場で保険料収入が伸び悩む中、海外市場開拓は今後の成長に不可欠との見方は変えていない。三井住友海上グループHDの遠藤勇専務は「運用面で慎重にはなるが、海外事業で攻勢を進めていく基本方針に変わりはない」と強調した。

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