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2008年11月19日(水) 21時41分

<郵政株>自民が路線転換 背景に「票」頼み毎日新聞

 郵政民営化の見直しに向けた機運がにわかに高まってきた。麻生太郎首相は19日、日本郵政など3社の、株式売却の凍結に賛意を示し、自民、国民新両党は「郵政株式売却凍結法案」の修正協議に国対委員長レベルで合意した。05年衆院選で郵政民営化を掲げて大勝した自民党の路線転換に踏み切った背景には、次期総選挙をにらみ、20万票ともいわれる「郵政票」へのなりふりかまわぬ期待感も透けて見える。

 「自民党が郵政民営化見直しでかじを切るかもしれない。民主党が本気でやらないと参院での(国民新党の)会派離脱もある。選挙協力も分からない」。14日に国会内で行われた民主、国民新両党の定例政策協議で、国民新党の亀井静香代表代行が言い切った。2日前には同党の綿貫民輔代表が首相官邸で麻生太郎首相と会い、凍結法案成立への協力を直談判していた。

 郵政民営化見直しは国民新党の「党是」。凍結法案は昨年12月に参院で可決されたが、与党が多数を占める衆院ではたなざらしとなっていた。綿貫氏の要請を受けた麻生氏は「国対に伝える」と約束。大島理森国対委員長も即座に動いた。

 自民党内では、郵政民営化が地方の離反を招き、昨年夏の参院選で惨敗する一因になったとの見方が根強い。同党の議員連盟「郵政研究会」(代表・山口俊一首相補佐官)は19日の会合で、持ち株会社「日本郵政」の西川善文社長を、「責任を取るところは取らなければいけない」と追及。株式の売却についても慎重な意見が相次いだ。保利耕輔政調会長の下に、見直しに向けたプロジェクトチームも近く発足させる。

 麻生政権で郵政造反組が党三役や閣僚に復権したことも、国民新党との垣根を低くしている。凍結法案をテコに参院で統一会派を組む国民新党と民主党を離れさせれば「ねじれ国会」の打開につながるとの思惑もある。

 ただ、あからさまな軌道修正には自民党内に不満もくすぶる。小泉改革を支持する中川秀直元幹事長は19日、「株式売却凍結をのんだ修正案になれば、断固反対する。売却益は国民に還元すべきものだ」と批判した。【三沢耕平、小山由宇】

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