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2008年11月19日(水) 21時40分

<元次官宅襲撃>首相の危機感薄く 高官も対応を疑問視毎日新聞

 麻生太郎首相は19日、「連続テロ」の可能性がある元厚生事務次官宅連続襲撃事件を強く非難するメッセージを出さなかった。閣僚や野党幹部は犯行を強く非難するなかで、二度の記者団の取材に応じた首相は「今の段階では単なる傷害か何とかって決まっていない」などと述べるにとどめた。野党などからは首相の「危機意識の欠如」を指摘する声も出ている。

 首相への記者団の取材は通常、平日の昼と夕方に行われる。事件の報告を受けた首相は19日午前1時過ぎ、秘書官を通じて「19日朝に取材に応じる」と報道各社に伝えた。異例の時間設定に、官邸関係者は「首相は早い段階で、犯行を非難するつもりだろう」と推測した。

 だが首相は同日朝、「いずれにしても痛ましい事件」などと述べるにとどまった。同日夕も「二つの関係が明確になった段階において、これはテロとみなして断固たる処置をとる。ただ、今の段階では単なる傷害か何とかって決まっていないんだろ。よく知らねえけど」などと語っただけだった。

 政府高官は「もっと強いメッセージを出したいが、それなら挑戦しようという輩(やから)も出てくる」と首相の対応を擁護するが、別の高官は「こういう時は、トップが明確に暴力を否定した方がいい」と首相の対応を疑問視する。社民党の福島瑞穂党首も記者会見で「断固許さないという憤りが(首相の)コメントから感じられないことに違和感を覚える」と批判した。

 小泉純一郎元首相の靖国神社参拝を批判した自民党の加藤紘一元幹事長の自宅が06年8月、右翼関係者に放火された際は、小泉首相(当時)が2週間にわたって事件に関して沈黙した例がある。【白戸圭一】

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