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2008年11月18日(火) 10時16分

新銀行東京詐欺、逮捕の元行員が事実上1人で融資審査読売新聞

 新銀行東京(東京都新宿区)を舞台にした詐欺事件で警視庁に逮捕された元行員の青木千代美容疑者(56)が事実上、1人で融資審査をしていたことがわかった。

 同庁は行内のチェック態勢の不備が、青木容疑者の詐欺行為を助長したとみて調べている。

 新銀行では、「申し込みから3日で融資」をうたい文句に、決算書のデータなどをコンピューターで処理し、自動的に融資額などを計算していた。

 同庁関係者によると、この審査では、融資先に出向く実地調査もすることになっていたが、青木容疑者はこの調査を1人で担当し、融資先が事務所もない状態だったにもかかわらず、営業実態があるように装い、報告書を提出していた。青木容疑者の上司らも事情聴取に「チェックはしたが、不正を見抜けなかった」と釈明するなど、審査が形式的でしかなかったことをほのめかしているという。

 事件の背景として、同庁幹部は、新銀行の特殊な風土が影響していたことも指摘する。銀行界では、審査の際に経験や直感で書類の偽造を見抜くことを「職人芸」や「目利き」と呼んでいるが、新銀行の経営幹部らは「目利きや職人芸という言葉は使うな」といった発言を繰り返し、書類の偽造の有無を確認することよりも、限度額(5000万円)いっぱいの融資を奨励する傾向があったという。

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 東京地検は17日、新銀行から融資金5000万円をだまし取った詐欺罪で、青木容疑者と、大阪市のソフトウエア開発販売会社会長で元指定暴力団住吉会系組員の大丸正志(46)、ブローカー渡部善和(50)、同松本順也(45)ら5容疑者の計6人を起訴した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081118-OYT1T00054.htm