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2008年11月18日(火) 08時01分

警察・公取OB、消費者庁が活用 業者不正や製品事故に機動対応産経新聞

 設置構想が進む消費者庁が、業者の不正や製品事故調査などに対応できるように、捜査や規制のノウハウを持った警察や公正取引委員会OBらを非常勤職員として100人規模で雇用することが17日、分かった。同庁は法令上、業者に対する幅広い規制権限を与えられるが、正規職員はわずか約200人。設置準備を進める内閣官房は、OBらの非常勤職員を“実動部隊”として活用する方針だ。

 同庁設置法案など関連法案は今国会に提出されている。内閣官房消費者行政一元化準備室の構想では、同庁が公取委や経済産業省に代わり、製品表示や訪問販売業者を規制。既存の法律では規制できない「すきま事案」と呼ばれる製品事故も単独で規制する。

 OBらの非常勤職員は、この「すきま事案」を担当する課を中心に配置される。「すきま事案」とは、死亡事故などで社会問題化しながら、規制法がないなどの理由で、行政が業者に指示や処分を出せない事案で、問題視されていた。

 今年9月、兵庫県の1歳10カ月の男児がこんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせ脳死状態となった後に死亡した事故でも、国は現行法では回収命令を出せないため、再発防止策を業界の自主規制に頼った経緯がある。

 関連法案の成立後は、消費者庁がこうした事故を「重大事故」と判断すれば、是正勧告や命令を出し、取引禁止、回収させることが可能になる。しかし、事業者に対する立ち入り調査や処分を担当する消費者安全課はわずか20〜30人の予定。調査のノウハウもないため、内閣官房では経験豊富な警察や公取委OBを多数配置して補う意向。実際に業者の立ち入り調査などに携わってもらう。

 消費者庁については、規制を行う際の主導権をめぐって担当省庁間で調整が進んでおらず、今国会での審議入りを疑問視する声も出ている。

【用語解説】消費者庁

 消費者行政の相談窓口や情報を一元化し、各省庁の司令塔とすることを目的に、内閣府の外局として設置が計画されている。具体的な不正調査や処分を行う際は、農林水産省や厚生労働省などと共管。今国会に提出されている消費者安全法案では、独自に業者に立ち入り調査ができる権限が与えられる。

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