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2008年11月18日(火) 19時15分

危機でもボーナス数十億円 米金融幹部「強欲」の終わりJ-CASTニュース

 金融危機のあおりを受けて業績が急速に悪化した米証券大手、ゴールドマン・サックスの最高経営責任者(CEO)らが2008年のボーナスを辞退したことが明らかになった。公的資金が注入されることになった金融機関の中では初めてだ。米国では、これらの金融機関の経営陣の高給ぶりに対して世論の反発が強まっている上、経営陣への未払い報酬・年金は400億ドル以上にのぼることがわかっている。これを受けて、「ボーナス返上」の流れが加速する可能性もありそうだ。

■リーマンCEO 、00年以降計463億円以上もらう

 2008年11月16日、米証券大手ゴールドマン・サックス(GS)の経営陣7人が、08年のボーナスを辞退したことが明らかになった。同社が08年9月に発表した08年6月〜8月の決算では、純利益は前年同期比70%減の8億4500万ドル(約880億円)。経営破たんしたリーマン・ブラザーズなどと比べれば比較的「勝ち組」とされてきた同社だが、やはり金融危機の影響は大きく、08年10月末の時点で、米政府から100億ドル(約9700億円)の公的資金注入を受けている。

 ブランクファインCEOは07年には、サブプライムローンの危機が指摘されていたにもかかわらず6800万ドル(約66億円)のボーナスを受け取って注目を集めたが、さすがに高額報酬に批判的な世論を無視しきれなくなった格好だ。

 金融危機が表面化して以来、米国では金融機関トップの報酬額に対して厳しい目が向けられている。

 例えば、下院の政府改革・監視委委員会が10月6日に開いた公聴会では、破綻したリーマン・ブラザーズのファルド最高経営責任者(CEO)が呼ばれ、ワックスマン委員長は、「00年以降、4億8000万ドル(約463億円)以上を得たことになる」などと指摘。

 公聴会の会場からは、

  「1億4000万ドル(約135億円)のフロリダの別荘や、100万ドル(約9600万円)単位の絵画コレクションを所有している」
  「ウォール街の幹部は利益は私有するが、損失は国民に押し付ける」

といった非難が相次いだ。

■公的資金注入を受けているのに経営陣に3兆8600億円

 破綻について聞かれると、

  「金融の津波に飲み込まれた」
  「本当にひどいこと」

などとひとごとのように答えた。

 ファルド氏は08年中にCEOを辞任する見通しで、ロイター通信によると、ボーナスや退職金は受け取らないという。

 だが、GSやリーマン以外にも、批判の対象になる企業はありそうだ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が10月31日、同紙の分析として伝えたところによると、公的資金の注入を受けている大手金融機関が経営陣に対して支払う報酬と年金を合計すると、07年末時点で400億ドル(約3兆8600億円)以上にのぼるというのだ。内訳は、GSが118億ドル(約1兆1400億円)、JPモルガン・チェースが85億ドル(約8200億円)、モルガン・スタンレーが10億〜12億ドル(約960億円〜1160億円)など。

 今回の金融危機をめぐって投入される公的資金は7000億ドル(約67.5兆円)で、国民一人当たりの負担額は約2300ドル(約22万円)。世論の反発が収まりそうな気配は見えず、今後も各社がGSに追随してボーナス返上に踏み切る可能性もありそうだ。


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