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2008年11月17日(月) 19時44分

格付け会社規制、議論まとまれば次期通常国会に提出=金融庁長官ロイター

 [東京 17日 ロイター] 金融庁の佐藤隆文長官は17日の定例会見で、週末にワシントンで開催された20カ国・地域(G20)による緊急首脳会合(金融サミット)について、格付け会社を登録制にする方向で合意が得られたことは日本国内での格付け会社規制の検討に影響を与えるとの認識を示した。
 その上で、格付け規制を検討している金融審議会(首相の諮問機関)での議論が順調にまとまれば、次期通常国会をめどに法案を提出するとの見通しを示した。
 日本での格付け会社規制の検討をめぐっては、金融審の第一部会(部会長:池尾和人・慶大教授)が10月15日から議論を開始しており、登録制の導入を中心に年内に結論を得る予定となっている。次回会合は19日に開く。今月12日には、欧州連合(EU)の欧州委員会が格付け会社の登録制の導入案を公表している。
 格付け会社規制について佐藤長官は「米国では登録制による規制が導入済みで、EUでも導入の方針が決定されている状況にある。各国で整合的な規制を導入し、協調して監督していくことが重要だ」と指摘。さらに「金融サミットで、格付け会社は登録制にするという方向での合意が得られたのは、日本国内での検討について方向性を付与する効果がある」と語った。
 佐藤長官は、金融サミットの首脳宣言について「意義があった」と強調。さらに、金融庁としては、来年4月30日までに開催される次回会合に向けて首脳宣言の行動計画の実施を図るとともに「金融安定化フォーラム(FSF)において、金融危機の再発防止や金融システム強化の国際的な議論に積極的に参加していく」との意向を示した。
 <金融危機、日本の金融システムへの影響は相対的に限定>
 さらに佐藤長官は、国際的な金融危機について「日本の金融システムの健全性に与える直接の影響は欧米と比較して引き続き相対的には限定されている」との認識をあらためて示した。ただ「グローバルな金融市場の混乱が、日本の実体経済の動向を通じて国内金融セクターにもネガティブな影響を及ぼしている状況はある」として、今後も警戒水準を維持しながら注視していく構えを示した。
 2008年9月期の国内金融機関の決算については「これまでに公表された結果をみると大幅な減益で、一部は赤字に陥っている」と指摘。主だった要因として、1)市況の悪化による手数料収入の減少、2)与信関係費用の増加、3)株式などの減損処理の増加——を挙げた。
 (ロイター日本語ニュース 村井 令二記者)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081117-00000526-reu-bus_all