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2008年11月16日(日) 12時34分

キズがあっても…ひょう害りんご消費拡大へあの手この手産経新聞

 日本国内で生産されるりんご84万トンのうち、半分以上の45万トンを生産する“りんご王国”青森県では、主力品種である「ふじ」「王林」の出荷が最盛期を迎えている。しかし、今年5〜6月にかけて霜やひょうの被害が相次ぎ、表面に傷のついたりんごが多く、価格の下落に危機感を募らせている。「見た目は悪いが、おいしさは変わらない」という生産者は、キズものりんごにイメージキャラクターを登場させるなど、あの手この手でPRに懸命だ。

 ■4〜5月に霜、5〜6月に雹(ひょう)

 青森県では、今年4月下旬から5月上旬に霜、5月26日と6月13日にひょうの被害を受け、りんご畑の35%にあたる8000ヘクタールが被害を受けた。特に、間引きを終えて育てるりんごを残す作業を終えた後の被害だったため、事態はより深刻だ。ひょうの直撃を受けたりんごは、その部分が赤い色がつかず、コブのようにやや盛り上がってしまう。味や品質にはまったく影響がないものの、外観の悪さゆえに価格の下落は避けられないのが実情だ。しかし、りんご生産者は、そんな状況を逆手にとって「今年はおいしいりんごが安く手に入る。これを機に、りんごのおいしさを知ってほしい」(JAつがる弘前の石郷岡喜代昭りんご課長)と、PRに乗り出した。

 ■キティ、「ひょう太君」が登場

 りんご卸売市場の弘果弘前中央青果(http://www.hiroka.jp/ 電話:0172・27・1262)では「生産者応援りんご」と銘打ったキャンペーンで、イメージキャラクターにハローキティを起用し、「表面にキズなど付いていてもおいしさは同じ」「お買い上げいただくことで被災生産者支援につながります」との説明書を添えて、袋販売・バラ販売・ギフト販売の各種パッケージを販売を開始。県りんご対策協議会も、ひょう害を受けたりんごのイメージキャラクターを作成し、愛称を公募した。7月に募集を始めたところ、全国から1982点の応募があり、「ひょう太君」と命名。「困難に負けないりんご」とプラスのイメージに転換してのPRに懸命だ。JAアオレン(県農村工業農業協同組合連合会)でも、霜・ひょうの被害を受けたりんごだけを使用したジュースを製造し、「希望の雫(しずく)」と名づけて販売。酸化防止剤を使用せずに変色を防ぐ「密閉絞り」という製法で、より生の果肉に近い味や香りを楽しめるのが特徴だという。

 ■外観に惑わされない見分け方、保管方法は?

 それでは、キズに惑わされず、本当においしいりんごはどう見分けたらよいのか。JAつがる弘前南支店生産指導係長の三上純一さんは「『ふじ』は比較的縦長で、表面がごつごつしている方が食感がいい。また、あまり大きすぎないものを選んだほうが味の当たり外れは少ない」と話す。品種によっては表面にワックス状のものが見られるが、これは「油あがり」とよばれる現象で、りんごが熟するにつれて増えるリノール酸とオレイン酸という天然成分で、皮に食物繊維が多く含まれるため、むかずに丸かじりするのが一番だとか。買ったりんごの風味を長持ちさせるには、「よく冷やす」「呼吸を防ぐ」がポイント。冷蔵庫で保管することはもちろん、(1)霧吹きなどで表面を濡らし湿度を保つ(2)ビニール袋に包んで呼吸を防ぐ(3)冷蔵庫の野菜室に入れて保管する−ことが秘訣という。輸入野菜など、今年も食への信頼が揺らぐ事件が相次ぐなか、消費者は値段や外観にとらわれず、冷静に良いものを見極めることが重要な時代になったといえそうだ。

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