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2008年11月16日(日) 10時19分

玉山鉄二 宝物を胸に…30代へ役者道進む産経新聞

■連続ドラマW「プリズナー」WOWOW日曜午後10時

 撮影前、水谷俊之監督から「映画『パピヨン』を見ておいてくれ」と言われた。スティーブ・マックイーン、ダスティン・ホフマン主演の1973年の名作。無実の罪で収監された男の脱獄劇は、そのまま今回のドラマに重なる。

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 「男臭い感じ、2人の関係性…。勉強になりましたね。台本にはロシアンルーレットも書かれていて、『ディア・ハンター』も参考にしました」

 生まれる前に作られた名画に触れることで、役に近づいていったようだ。多くの賞に輝いた「パンドラ」に続く“連続ドラマW”第2弾は、沢井鯨の壮絶な実話「P・I・P・プリズナー・イン・プノンペン」をベースにしたヒューマンサスペンス。東南アジアの架空の国を舞台に、元教師の圭吾(玉山)と詐欺師のポン(大森南朋)の脱出劇を、警察官の汚職、日本大使館の不誠実な態度などを背景にスリリングに描いていく。

 「圭吾は(脱出という)光を求めることが生の一部と考えている男。大森さんとの男同士のぶつかり合いが、他局では表現できないような独特の映像に仕上がっている」と話す。何回も訪問しているという大好きなタイでの長期ロケは、共演者との結束力を高め、玉山を一回り成長させた。

 役者デビューしてまもなく10年。「昔は素直に向き合えない自分がいたが、最近は責任感が持てるようになり、人の痛みにも敏感になった」と打ち明ける。10月に急死した緒形拳との出会いは大きかった。8月に放送されたNHKドラマ「帽子」で共演したばかりだったが、「1カ月半の広島ロケで、夜になると『玉、カキ食いに行くぞ!』と食事に誘ってもらって…。『現場でおれが大切にしているのは共演者とスタッフだ』といつも言っていた。気張らずナチュラルに生きている人。俳優としてではなく、1人の人間として強く影響を受けました」。

 撮影の途中、玉山が京都の実家に帰り、無農薬の漬物をおみやげに渡したところ、後日、緒形から入浴剤と手紙の返礼があった。「ゆっくり風呂に入って温まりなはれ」

 「もっと仕事を共にしたい人でした」。宝物を胸に、30代へ向けて役者道を突き進む。(松本明子)

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