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2008年11月16日(日) 03時03分

2020年のCO2削減可能量、53%が中・米・印に集中読売新聞

 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量について、2020年時点での主要国別の削減可能量を経済産業省所管の財団法人「地球環境産業技術研究機構」(RITE)が試算したデータが明らかになった。

 省エネ設備の導入などで1トンあたりの削減に50ドルかけた場合、20年の世界全体の削減可能量の53%が中国、米国、インドに集中。京都議定書(2008〜12年)で削減義務を負わないこの3か国が、新たな枠組み作りで削減に取り組む重要性が裏付けられた。国別の具体的な削減可能量が判明するのは初めて。

 試算は、世界を54地域に分け、発電や鉄鋼など産業ごとに省エネ技術導入で削減可能な量を積み上げる「セクター別アプローチ」の手法を採用。05年時点のエネルギー効率や産業構造が続くと仮定して計算した。

 世界全体の05年の排出量は262億トン。試算では、20年には488億トンに増えるが、1トンあたり50ドルかければ252億トンに抑えられる。国別では、50ドル負担により、中国(05年で51億トン)が113億トンから48億トンに抑制され、削減可能量は65億トンで最も多かった。

 日本の場合、05年は12億トンで20年には17億トンに増えるが、50ドル負担で12億トンに抑えられるという計算だ。

 部門別では、中国、インドの石炭火力発電の効率化や米国での車の燃費向上の削減効果が大きかった。

 来月のポーランドでの気候変動枠組み条約第14回締約国会議で、13年以降の枠組み交渉が本格化する。同研究機構の秋元圭吾副主席研究員は「世界的な金融危機もあり、費用や効果を無視した議論はあり得ない。どの地域でどんな行動をとれば、どれだけ削減可能か、各国が共通認識を持つ必要がある」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081115-00000059-yom-soci