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2008年11月16日(日) 12時30分

金融サミットは金融システム監督強化で合意ロイター

 [ワシントン 15日 ロイター] ワシントンで開催されていた緊急首脳会合(金融サミット)は15日、世界経済の成長回復、世界金融システムの改革を達成するため協力することなどを盛り込んだ首脳宣言を採択して終了した。
 出席した先進および新興20カ国・地域(G20)の首脳は、混乱に陥った金融システムの監督強化を打ち出したものの、ヘッジファンドの規制に関する新たな指針は示さなかった。
 すでに多くが独自に銀行セクター救済策を講じているG20は、格付け会社や複雑な金融派生商品、銀行、会計基準、経営幹部への報酬、規制当局を批判。スイスのUBS<UBSN.VX>やゴールドマン・サックス<GS.N>といった国際的に事業展開する大手金融機関のため、監督機関も国際的に連携した「colleges」を編成することが必要との認識で一致した。
 金融業界の専門家は、金融危機への対応を協議するため20カ国が集まったことに意義を認めつつも、首脳宣言は広範囲で具体性に欠けると指摘。
 ピーターソン国際経済研究所(ワシントン)のシニアフェロー、エドウィン・トゥルーマン氏は「内容については、非常に精彩に欠ける」と指摘。「国際的な金融機関を監視するカレッジという文言があったが、それも非常にあいまい。いまあるものと、さして変わらない」と述べている。
 トゥルーマン氏が指摘するように、すでに幾つかの金融業界改革が実施されている。
 米欧では、証券監督当局が、スタンダード&プアーズ(S&P)<MHP.N>、ムーディーズ・インベスターズ・サービス<MCO.N>、フィッチ・レーティングス<LBCP.PA>など大手格付け会社に対し、利益相反の防止、情報開示の強化、複雑な金融商品の格付けを他と区別させる措置を講じているほか、会計基準をめぐっても国際会計基準の標準化などに取り組んでいる。
 また、信用危機を深刻化させたとされるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を集中決済する清算機関設立に向けた作業も行われている。 
 ブッシュ米大統領は、閉幕後に発表した声明で「CDS取引は集中清算機関を必要とする」と表明。企業寄りの従来の政策路線を転換させた。
 G20首脳は、企業幹部への報酬について、各国財務相に報酬慣行に関する勧告をとりまとめるよう指示、報酬のインセンティブは行き過ぎたリスク・テイクの抑制に働くべきとした。
 現在、先進国の中央銀行、監督当局からなる金融安定化フォーラム(FSF)に新興国を取り込むべきとの見解も示した。
 ヘッジファンドの最善の慣行、金融問題是正にヘッジファンドをどのように活用できるかについて評価・検討することで合意した。これに対し、カナダのフレアティ財務相は、ヘッジファンドの資本規制などが打ち出されなかったことに失望を示した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081116-00000350-reu-bus_all