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2008年11月16日(日) 22時46分

「悔しい」と父や上司 市川容疑者、夏にも飲酒運転中国新聞

 全く動かない人、後頭部には血の跡—。十六日、新聞配達中の東川達也ひがしがわ・たつやさん(16)がひき逃げされ死亡した事件。素直で優しかったという東川さん。父親や上司は「悔しい」と口をそろえる。「飲酒運転だったので逃げた」と供述した市川保いちかわ・たもつ容疑者(41)は、今年の夏にも飲酒運転していた。

 遺体が見つかった大阪府河内長野市の駐車場近くに住む男性(37)は同日朝、二階の窓から駐車場で人があおむけに倒れているのを見た。全く動かない。「おかしい」と思い通報した。紺色の上下、靴下と軍手。後頭部には血のようなものがにじんでいた。

 東川さんは、十月に今の職場で働き始めたばかり。遅刻もなく仕事はきっちりとこなし、今月一日からは一人で持ち場を担当していた。勤務先の販売所代表古谷浩忠ふるたに・ひろたださん(45)によると、事件前日は初めての給料日。現金で手渡すと「欲しかったものが買える」とはしゃいだ様子だったという。

 古谷さんは「見た目はやんちゃだけど、素直で将来を期待していた。なぜひき逃げできるのか、悔しくて仕方ない」と唇をかんだ。

 父親の雅信まさのぶさん(42)は「悔しいという以外にない。まじめで優しい子だった」とのコメントを発表した。

 一方、市川容疑者は工務店に勤め、父親によると、今年夏にも飲酒運転で摘発され、父親が「罰金」を払った。数日前も酔っぱらって帰宅。「友達に乗せてもらった」と説明していた。工務店社長(35)は「欠勤やトラブルもなくまじめという印象だった」と驚いた様子で話した。

 遺体が発見された駐車場には、ヘッドライトがゆがみ、運転席の側面がへこんだ軽ワゴン車。到着した警察官に呼ばれ、近くの家から市川容疑者がパジャマ姿で出てきた。警察車両内で事情を聴かれていたが、冷静な様子だったという。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811160317.html