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2008年11月16日(日) 22時16分

金融機関の国際監視団創設へ G20宣言、サミット閉幕中国新聞

 【ワシントン16日共同=杉本一朗】二十カ国・地域(G20)の首脳が金融危機対策を討議した緊急首脳会合(金融サミット)は十五日午後(日本時間十六日朝)、危機の再発防止のため、海外展開している主要金融機関への国際的な監視団を来年三月末までに創設することで合意。さらなる財政出動や金融緩和で成長を回復させ、金融市場の安定へ「必要なあらゆる追加的措置を取る」と明記した首脳宣言を採択し、閉幕した。

 各国が実行すべき具体策を「来年三月末まで」と「中期的」の二段階に分けた「行動計画」も公表。進展状況を点検する次回会合を四月末までに開く。ロンドンでの開催が有力になっている。

 G20首脳は宣言で、危機の原因を「金融当局がリスクを適切に評価、対処せず、金融技術の革新についていけなかった」ためと落ち度を認めた上で、米国発の危機による世界不況を阻止する決意を表明。しかし実体経済の急速な悪化という「今そこにある危機」(米エコノミスト)への具体的対処を各国に委ねた格好で、深刻な景気停滞の回避では実効性に疑問の声が上がりそうだ。

 国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は閉幕後の記者会見で、財政出動の必要額は世界の国内総生産(GDP)の「最低2%」とし、百兆円を超える景気刺激策を求めた。

 宣言には、危機の原因となった複雑な証券化商品の情報開示拡大や、信頼性が揺らいでいる格付け会社に対する「強力な監督」など、市場改革の「共通原則」も盛り込まれた。

 議長役のブッシュ米大統領は、今回のサミットを「(新しい経済秩序への)重要な第一歩」で「大成功だった」と評価。オバマ次期政権にも「G20の意志を十分説明した」と述べた。

 金融機関への監視団は、主要三十—四十社程度を対象に拠点がある関係国の当局者が年一回以上集まり意見交換、共同で監督する仕組み。日本はメガバンクなど四—六社が対象となる見通しだ。

 IMFをはじめとする国際金融機関は、世界経済の変化に対応し新興国がより大きな発言権を持てるよう改革を推進。危機時の資金支援能力も拡充する。さらに、貿易や投資の拡大に向け世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)について「年内の(細目)合意に努力する」とした。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811160272.html