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2008年11月16日(日) 22時16分

市場安定化に効果期待 新たな景気対策なく失望も中国新聞

 金融サミットで各国が金融機関の規制、監督強化などで合意したことで市場では、混乱の続く金融市場の安定化に一定の効果を上げるとの期待がある。ただ関心は金融危機から深刻化する実体経済の悪化に移りつつある。新たな実効性のある景気対策が示されなかったため「ただの意思表明に過ぎない」(市場関係者)と失望感も出ている。

 信用デリバティブ取引の透明性向上や、格付け機関の監視強化などが盛り込まれ、市場は「混乱を増幅させる要因となった市場の欠陥に手が打たれたことは意義深い」(証券会社アナリスト)と評価する。

 ただ目先の株価低迷は変わらないとの見方が大勢だ。

 第一生命経済研究所の熊野英生くまの・ひでお主席エコノミストは「既に百兆円を超す経済対策が打ち出されているが、各国の対応はばらばらで効果は疑問」と指摘。国際通貨基金(IMF)の機能強化も「重要ではあるが、効果が出るのは新興国ですぐには先進国の景気対策にはならない」とする。

 円高ドル安の進む外国為替市場でも「ドル安が止まるかは米国の景気次第だ」(大手銀行)との見方が多く、株価や為替相場は当面、米経済指標や今後本格化する米クリスマス商戦の動向に左右されそうだ。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811160266.html