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2008年11月16日(日) 09時56分

農地のイノシシ被害倍増中国新聞

 笠岡市北部でイノシシが増え、農作物被害が広がっている。本年度の捕獲頭数は10月末現在54頭で10年前の約7倍。被害件数はすでに昨年の2倍を超え、人への危害を恐れる声も上がる。市は15日からの猟期に合わせ、狩猟家に重点駆除を要請した。

 市のデータでは、わなを使った市内のイノシシ捕獲頭数(3—10月)は2004年度まで10頭前後で推移してきたが05年度から増加。本年度は10月で54頭に上り、被害相談も17件と昨年度の7件を上回っている。稲が倒される被害(篠坂など)のほか、モモの食害(山口)、クリの食害(走出)などがあり、昨年220万円だった被害額も倍増は確実という。

 同市山口の会社員岡野雅夫さん(58)は今夏、自宅わきの3アールの畑のナスなどがほぼ全滅した。9月半ば、周囲約60メートルをトタン板(高さ90—130センチ)で円形に囲った。作業に4日間、材料費は14万円。「シシとの戦いが始まった」とため息をつく。

 イノシシ急増について岡山県猟友会井笠支部笠岡分会(52人)の清水泰治分会長は、井原市などから南下し、耕作放棄地の増加などを背景に集落に行動域が近づいていると推測する。市は「とりあえず駆除を進める」と猟期(15日—来年2月)に合わせ同分会に市内のイノシシの重点駆除を要請。今後の対策を練っている。

【写真説明】イノシシが入らないよう周囲をトタン板で囲った岡野さんの畑(笠岡市山口)

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200811160066.html