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2008年11月16日(日) 02時30分

<年金基金背任>黒沢容疑者、当初から裏金目的で冊子作り毎日新聞

 埼玉県国民年金基金(さいたま市)の幹部による背任事件で、逮捕された常務理事、黒沢博史容疑者(62)=さいたま市浦和区=の裏金づくりに用いられた基金のPR冊子は、黒沢容疑者が99年11月に就任した直後から製作が本格化したことが分かった。黒沢容疑者が一貫して広報予算に関する権限を握っていたことも判明。警視庁捜査2課は、黒沢容疑者が当初から受注業者にキックバックさせる目的で冊子の製作を主導したとみて調べる。

 警視庁は15日、埼玉県国民年金基金と、冊子を受注した出版会社「社会保険研究所」(東京都千代田区)などを家宅捜索した。

 調べでは、冊子は基金の広報と加入者勧誘が目的で、00年度から県内の社会保険事務所や金融機関などへの配布が始まった。黒沢容疑者は所沢社会保険事務所長を99年11月に退職した直後、基金の事務長に天下りしており、冊子の製作はこの後に本格化していったという。

 捜査2課によると埼玉県国民年金基金には年間1億〜2億円の広報予算があり、事務長に関連業務の発注権限があった。黒沢容疑者は、05年4月に常務理事に昇格した後も冊子の部数や予算を決める権限を手放さず、広報事業を主導する立場にあったという。

 黒沢容疑者はこうした権限を悪用し、2社以上に見積書を出させたり契約書を交わしたりする正規の手続きを無視し、社会保険研究所の営業担当だった清裕(せいゆたか)容疑者(46)=埼玉県ふじみ野市、背任容疑で逮捕=らにキックバックへの協力を打診。承諾した同社と随意契約を結んでいた。

 黒沢容疑者は調べに対し「社会保険事務所職員時代に裏金づくりをしてきた。新しい職場でも小遣い稼ぎのための裏金が欲しかった」と話しているという。【杉本修作、酒井祥宏】

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