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2008年11月16日(日) 21時38分

経済再建で「共同責任」負う 新秩序へ歴史的一歩か中国新聞

 【ワシントン16日共同=高橋雅哉】緊急首脳会合(金融サミット)は、金融危機で傷ついた世界経済の再建へ主要国と新興国の計二十カ国・地域が「共同責任」を負う決意を表明した。改革の将来像ではなお溝が残るものの、新たな経済秩序への移行に向けた歴史的一歩となる可能性を秘めている。

 「百年に一度」とされる今回の危機は米国を火元に欧州やアジアへと燃え移りながら火勢を増し、実体経済を脅かしている。二〇〇九年には日米欧がそろってマイナス成長に沈む、第二次大戦後で初の事態を迎えそうだ。

 複雑な金融商品や巨額マネーの奔流を野放しにした米欧当局。「先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)だけで世界のかじ取りはできない」(ブラジルのルラ大統領)との指摘は主要国も認めざるを得ない。

 世界を同時不況のふちから救う「エンジン」として期待されるのが、中国やインド、産油国などの新興国だ。金融サミットの直前、中国は総額四兆元(約五十七兆円)の景気刺激策を決定。景気てこ入れへ「応分の責任」を果たしたと高く評価された。

 対米輸出や原油高で膨らんだ新興国の外貨準備は、「国家破たん」の危機にひんした国への救済財源として期待を集める。首脳宣言は、新興国の発言力拡大を通じて国際通貨基金(IMF)など米欧主導が続く「ブレトンウッズ機関」を改革することも明記した。

 「危機意識が世界全体に共有されなかった」。首相や蔵相を務めた故宮沢喜一氏はかつて、一九九〇年代後半のアジア通貨危機がロシアやブラジルに連鎖したことを嘆いた。苦い教訓を再び生かすことができなければ、金融サミットは「政治ショー」との厳しい批判を浴びることになる。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811160264.html