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2008年11月16日(日) 21時49分

<金融サミット>欧州「新体制」へ道筋毎日新聞

 【ブリュッセル福島良典】世界20カ国・地域(G20)を集めて14、15の両日にワシントンで開かれた第1回緊急首脳会議(金融サミット)で、米国主導の金融体制の見直しを目指す欧州主要国は、新興国が参加する国際秩序の枠組み構築に向けて道筋を付けた。多極化世界での発言力強化を狙う欧州は中国、インド、ブラジルなどを含むG20を主要8カ国(G8)に代わる多国間協議の場として定着させ、G8拡大にむすびつけたい考えだ。

 ◇「歴史的な会議」…仏大統領が評価

 英仏など欧州主要国は、第二次大戦後の国際金融・通貨体制の基盤となった金・ドル本位制のブレトンウッズ体制に代わる「新ブレトンウッズ体制」の構築を追求。今回は具体策を先送りしたため、「危機の解決には至らなかった」(英オブザーバー紙)と厳しい総括も出ている。

 だが、欧州連合(EU)が提唱していた国際通貨基金(IMF)や世界銀行への新興国・途上国の参画強化は首脳宣言に盛り込まれた。EU議長国フランスのサルコジ大統領は「G20は世界金融危機に伴う諸問題を取り扱うのに適した機構とのお墨付きを得た」との認識を示し、「歴史的なサミットになった」と評価した。

 フランスは金融サミット開催で米国を説得し、国際社会での欧州の存在感を強めた。欧州の推進力となったのは英仏の二人三脚だ。世界経済協議の場としてG20の枠組みを定着させたいサルコジ大統領は、来年のG20議長国である英国・ロンドンでの第2回金融サミット開催を提案し、ブラウン英首相との連携ぶりを見せつけた。

 英仏間には、ヘッジファンドに対する規制のあり方などを巡り温度差があるが、G8に代わり、新興国を取り込んだ国際秩序の構築が急務との考えでは一致している。背景には「多極化世界の確立により、対米発言力を増したい欧州の思惑」(欧州外交筋)がある。

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