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2008年11月16日(日) 20時27分

金融危機でもハリウッドはしたたか??産経新聞

 米国初の世界的な金融危機にもハリウッドは案外、屈しないようだ。ここ数年、ハリウッドは大ヒット作の連発で史上最高の活況を呈し、製作資金も潤沢。今年2月に終結した脚本家のストライキによる遅れを取り戻そうと急ピッチで製作が進む作品も少なくない。プロデューサー、監督らも「公開作品のスケジュールは2011年まで決まっているので影響はない」などと強気の姿勢を見せる。(岡田敏一)

 今回の金融危機で、当初は映画製作の資金を集める映画ファンドなどに流れる金が激減するとの報道もあったが、多くの米メディアの見方は懐疑的だ。

 実際、インドのメディア複合企業リライアンス・ビッグ・エンターテインメント社が、スティーブン・スピルバーグ監督らが率いるドリーム・ワークスSKGが設立する新会社には約5億ドル(約485億円)を出資することになった。その新会社にはJPモルガン・チェース銀行が約7億ドル(約680億円)を融資する。このほかにも巨額の融資があり、業界には潤沢な資金が流れ込んでいる。

 ハリウッドの製作側の声も同様だ。「ストライキによる遅れを取り戻すため必死で撮影している作品もある」(米業界関係者)との指摘も少なくない。12月公開のピクサー製作ディズニー提供のアニメ映画「WALL・E/ウォーリー」のプロデューサー、ジム・モリスは「ディズニー・ピクサーの主力作品は製作費1億ドル(約97億円)以上の大作。製作費も多いが、もうけも大きく、今も潤沢な製作資金がある」と明言。「2011年までのラインアップは既に決まっており、予定通りに進んでいる」と強調した。

 人気ホラー映画シリーズの第5弾「ソウ5」(11月公開)のデヴィッド・ハックル監督は、シリーズの原点である第1弾(2004年)が、アイデア優先の低予算映画だったことに触れて「超大作は製作しにくくなるだろう」と予想した。「今回の金融危機で映画作りのあり方が、巨額の製作費よりもアイデアや卓越した物語を優先する方向に大転換するなら、大歓迎だ」と話している。

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