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2008年11月16日(日) 19時56分

<金融サミット>安定へ連携強化、財政出動も協調…首脳宣言毎日新聞

 【ワシントン清水憲司】日米欧の先進国に中国、ブラジルなど有力新興国を加えた主要20カ国・地域による第1回緊急首脳会議(金融サミット)は15日午後(日本時間16日朝)、首脳宣言を採択し、閉幕した。宣言は、金融危機に歯止めをかけ世界不況を回避するため、金融監督に関する国際的な連携を強化するとともに、内需刺激のため財政出動で各国が協調する方針を明記。金融政策も含めた政策総動員体制で危機克服に臨む姿勢を強調した。

 金融サミットはまた、市場・規制改革の「行動計画」も発表。金融危機で市場混乱を増幅する要因にもなった格付け会社に対する監督手法の確立など、来年3月末までに実行する「当面の措置」を明示し、金融監督で新興国も含めた国際連携を強化する方針を示した。各国の対応を点検するため、4月末までに第2回会合を開く。

 首脳宣言は「主要経済国(先進国)で成長が大幅に減速している」と分析、新興国経済についても「世界経済減速の悪影響を次第に受けつつある」との認識を示した。そのうえで、「金融政策による支援の重要性を認識し、即効的な内需刺激の財政施策を用いる」と明記、各国が世界経済を下支えするため財政・金融政策で協調する姿勢を打ち出した。

 金融危機の原因に関しては「いくつかの先進国で市場監督・規制が金融技術革新から遅れた」と指摘、米国流の市場万能主義が危機を深刻化させたとの認識を表明。危機再発防止では「すべての金融市場、商品、参加者が適切に規制されることを誓約する」と、ヘッジファンドなども規制対象とする可能性も示唆。規制強化を訴えた欧州や新興国の主張に沿った内容となった。

 一方、国際金融システム改革では、金融危機で外貨不足に陥る新興国や途上国が相次いでいることを踏まえ、「国際通貨基金(IMF)や世界銀行が役割を果たすため十分な資金基盤を確保する」と明記。IMFの機能・財源強化を進める方針を示した。

 議長国のブッシュ米大統領は閉幕後の会見で「我々は危機克服に向けて多くの課題に取り組むことで合意した」と成果を強調した。

 ◇金融サミット首脳宣言骨子◇

・金融安定に向けあらゆる追加的措置を実施

・金融政策の重要性を認識。即効的な内需刺激の財政施策を活用

・IMF・世界銀行の十分な資金基盤を確保

・金融市場と規制の枠組みを改革。当局の国際連携を強化

・すべての金融市場・商品・参加者を適切に規制、格付け会社を強力に監督

・今後1年間は新たな投資・貿易障壁を設けない

・金融市場の改革・規制で行動計画を採択

・09年4月末までに第2回金融サミット。行動計画の実施状況を点検

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