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2008年11月16日(日) 00時27分

偽装ウナギ事件 中心人物・横山容疑者の「すご腕」ぶり産経新聞

 兵庫、徳島両県警が15日、関与した8人を逮捕し、本格的な真相解明に乗り出した中国産ウナギの産地偽装事件。偽装工作の中心的役割を果たしたとみられるのが、高知県南国市の水産物加工会社「土佐海商」専務、横山圭一容疑者(39)だ。業界では「ウナギのすご腕」と呼ばれ、偽装工作で高額の現金を動かし、地元・高知では高級外車を乗り回していたという。中国産を国産として売りさばき、魚秀側に約3億円の差益を生み出した横山容疑者はどのような人物なのか。

 「1億円ぐらい支払った」。横山容疑者は、高松市の水産物加工販売会社の元専務、稲山恵誉容疑者(44)に、ウナギの詰め替えなどの偽装作業を依頼した報酬について、両県警の調べにこう供述したという。

 偽装工作では発覚を防ぐため、魚秀と神港魚類の間に、東京都の商社「共同フーズ」など2社と、帳簿上だけ取引する「帳合」と呼ばれる取引が行われた。

 2社の社長は、神港魚類が支払ったウナギの購入代金7億8000万円を事務所の近くにある東京・築地の銀行で引き出し、旅行カバンに詰め込んだ。その現金を受け取ったのは横山容疑者。現金は魚秀に渡った。

 横山容疑者は大手水産会社の元社員。サラリーマン時代は中国からウナギを輸入し、国内の仲卸業者に販売する仕事をしていたという。

 約10年勤めた後、退社。台湾人実業家の支援を得て、南国市内に水産物を加工する「土佐海商」を設立。専務に就任したが実質的には経営を掌握し、社員の大半を占める東南アジアの研修生に指示を飛ばしていたという。

 私生活では「派手な生活を送っていた」(高知県の水産業者)といい、BMWやフェラーリなど高級外国車を乗り回す姿も目撃されていたという。

 逮捕直前に中国へ。15日夜、関西空港に降り立った直後、待ちかまえていた捜査員に逮捕され、取り調べを受けるため捜査員とともに兵庫県警兵庫署に入った。その際の横山容疑者は帽子を深くかぶり、サングラス姿。ほおには無精ひげが目立ち、すご腕の面影はなかった。

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