記事登録
2008年11月16日(日) 00時08分

危機克服へ市場改革 G20サミット声明採択へ中国新聞

 【ワシントン15日共同=杉本一朗】二十カ国・地域(G20)の首脳が金融危機対策を話し合う緊急首脳会合(金融サミット)は十五日午前(日本時間同日夜)、最終日の討議を始めた。危機の再発防止と世界的な混乱の収束に向け、格付け会社の監督強化など各国が取るべき市場改革の「共通原則」を確認。世界的な成長減速に強い懸念を示し、景気刺激のための財政・金融政策での協調を盛り込んだワシントン声明を同日午後(同十六日朝)採択し、閉幕する。

 サミットは、各国が取り組む具体策を示した「行動計画」も公表。来年三月末までの実行を要請し、進展状況を点検するため同四月に第二回会合を開く方向で調整している。ロイター通信など複数のメディアが伝えた。

 米サブプライム住宅ローン問題をきっかけに世界に広がった金融危機への対処で、主要国・地域の首脳が結集したのは初めて。未曾有の危機に連携して立ち向かい、世界経済の成長回復を目指す強い姿勢を打ち出す。

 会合では、危機の根本原因が金融機関の甘いリスク管理に加え、当局の不十分な規制や監督体制だったとの認識を共有。金融市場の規制や監督などの改革が不可欠との認識を示す。

 具体的には、金融機関に巨額の損失をもたらす原因となった証券化商品の会計ルール改善や、「甘い格付け」への批判が広がった格付け会社の監督強化などを明記。(1)透明性と説明責任(2)適切な規制・監督(3)市場の健全性(4)国際的な協力—についての原則で合意する。中核的な支援機関である国際通貨基金(IMF)の機能強化も進める。

 財政・金融政策では、各国中央銀行による利下げなど協調行動を歓迎。減税をはじめ財政出動による追加の景気刺激策など「あらゆる措置」を取ることを確認する。

 また、保護主義を退け自由主義経済を推進することを強調。世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の成功を支持し、成長のけん引役である新興国や途上国を支援していくことも表明する。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811160098.html