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2008年11月15日(土) 06時04分

空自上級幹部がセクハラで更迭スポーツ報知

防衛省で記者会見する外薗健一朗・航空幕僚長

 航空自衛隊第1術科学校(静岡県浜松市)の校長だった宮下今朝芳(けさよし)空将補(55)が部下の女性自衛官からセクハラを訴えられ、9月に更迭されていたことが14日、分かった。空自ではトップの田母神俊雄・前航空幕僚長(60)が歴史論文問題で更迭されたばかり。タガが緩みっ放しの状態に、浜田靖一防衛相(53)は会見で「隊員個人が自分を律する思いに頼るしかない」と思わず“泣き”を入れる場面も。同省は今後、原則的に幹部人事をすべて公表する方針を示した。

 日本の守りは“ザル”なのか。防衛省によると、宮下空将補は昨年9月1日から空自第1術科学校校長を務めていたが、今年9月に女性自衛官から「セクハラ行為を受けた」と訴えがあった。報告を受けた防衛省は同18日付で校長職を解いて航空幕僚監部付とした。

 宮下空将補は大筋でセクハラの事実関係を認めているという。同省は近く懲戒処分に踏み切る方針だが、今回のセクハラの内容については、プライバシーを理由に明らかにしていない。

 約2か月も問題を公表しなかった点について、空自トップの外薗健一朗・航空幕僚長は「細部をしっかり確認しないと公表すべきかどうか判断できない」と釈明。だが現在も後任の校長は不在のままだ。

 通常、防衛省は空将補などの幹部人事異動を報道機関に発表するが、今回はしていない。更迭は浜田氏の防衛相就任前。外薗空幕長によると、当時の林芳正防衛相にはセクハラ問題を報告し、9月18日に宮下空将補の校長職を解任する人事を発令したという。

 隠ぺいとも指摘されかねない防衛省、自衛隊の体質。浜田氏が初めて事実関係を把握したのは13日夕方だった。14日の記者会見では「プライバシーの問題もあるが、発表しなかったことに疑問がある」と、いらついた様子で語った。

 歴史認識に関して政府見解を否定する論文を公表し、先月末に更迭された田母神俊雄・前航空幕僚長が隊内誌への寄稿で「身内の恥は隠すもの」と指摘したが、浜田氏は「『恥は隠すもの』などと言うこと自体、大きな間違いだとはっきり申し上げたい」と身内への怒りをぶちまけた。

 自衛隊では、田母神前空幕長の更迭問題を始め、9月には海上自衛隊特殊部隊の訓練中の死亡事件も発覚。わいせつ関連の事件も続発するなど、自衛隊全体に規律の緩みが生じている。

 この現状に「政界の暴れん坊」で名をはせた「ハマコー」こと、元衆院議員の浜田幸一氏(80)を父に持つ浜田氏だが「大きな組織を人間1人、私自身の力ではまとめることはできない」と弱音をポロリ。さらに「自衛隊員、個人個人が自分を律する思いに頼らざるを得ない」とまで述べ、“白旗”を揚げた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081115-OHT1T00097.htm