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2008年11月14日(金) 10時45分

増える悪質勧誘「脅迫」も 「マンション賃貸で利益」産経新聞

 ■市況悪化で在庫処分急ぐ業者

 マンションの悪質な勧誘販売が増えている。しつこいセールスや脅迫まがいの言動も目立つ。国民生活センターは「相談件数は史上最悪の3000件超の勢い」と危機感を強める。米国のサブプライムローン問題や世界同時株安の影響による日本の不動産市況の悪化を受け、在庫処分を急ぐ業者の思惑が背景にあるようだ。同センターは「納得のいかない契約は早めの相談で対処して」と呼びかけている。(柳原一哉)

 静岡県の30代男性は深夜に電話があり、「都内のマンションを購入すると老後の生活資金になる。会って話がしたい」と誘われた。男性が「時間がない」と断ると、相手は激しい口調に変わり、「家に火をつけるぞ」などと脅迫。電話線を外して対応しなかったところ、その後、勤務先にまで勧誘電話があったという。

 神奈川県の30代男性も勤務先に「ワンルームマンションを買わないか」と電話があった。強く断ると、直後に宅配ピザ店から「大量の注文があったが、作っていいか」と確認する電話があった。男性は「購入を断った報復」と感じている。

 悪質な事例としてはほかに、「共済年金について話がしたい」という電話が実際は投資用マンションの勧誘だったケースも。また、「購入したマンションを貸せば、家賃収入でローンを返済できる」と利益を確約したかのようなセールストークを受けたが、ローン返済額が家賃収入を上回る事態となった人もいる。

 国民生活センターや各地の消費生活センターには、「断り切れずに契約してしまったが、どうしたらいいか」と根負けした後に相談してくる人が少なくない。

 不動産コンサルタント会社、タカエージェント(京都市)の高下弘之社長は、その背景として、昨秋以来、米国のサブプライムローン問題の影響で日本の不動産市況も冷え込み始めていることを理由に挙げ、「マンションの需給は完全に崩れており、業者の一部には手持ちの物件を早く処分しようと、消費者を強く勧誘している」とみる。

 消費者からの相談を受け付ける行政書士の守屋保彦さんも「昨年から相談が増えてきた。在庫処分を急ぐ業者の思惑が背景にあるのでは」と話す。不動産市況は、今秋の米国発世界同時株安の影響を受け、一層の悪化が予測されている。勧誘販売も厳しさを増す恐れがある。

 対処法について、国民生活センターは「まずはき然と断ってほしい。『威迫』などの悪質な勧誘行為は宅建業法で禁じられており、被害者は都道府県に申し出て」と呼びかける。

 宅建業法にはクーリングオフの規定がある。「一定の期間内なら無条件で解約ができる。期間を過ぎても解約できる場合があり、早めに最寄りの消費生活センターに相談を」と助言する。クーリングオフを専門に扱う行政書士事務所もあり、依頼するのも手だろう。

 悪質な業者は名乗らないことも多い。このため、電話の発信番号表示サービスを利用して着信拒否を設定する▽番号非通知の電話に応じない▽通話を録音する−などの手段も勧めている。

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