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2008年11月14日(金) 06時03分

衣服の上から「尻」撮影は有罪!最高裁決定「みだらな行為」スポーツ報知

 カメラ付き携帯電話でズボン姿の女性の尻を撮影し続けたとして、北海道迷惑防止条例違反の罪に問われた男性自衛官(31)の上告審で、最高裁は13日までに衣服の上からの撮影でも条例違反になるとし、被告の上告を棄却する決定をした。着衣状態の女性を狙った撮影行為が有罪となる珍しい判断。司法関係者からは「場合によっては、街中で女性をジロジロと見る行為が罰せられることもありえる」との声も上がっている。

 ズボン姿の女性を撮影する行為も、場合によっては罪となる判断が下された。最高裁第3小法廷は、北海道迷惑防止条例違反(みだらな行為の禁止)の罪に問われた旭川市の自衛官・久未浩司被告の上告を棄却。この決定で、1審の無罪判決を破棄し罰金30万円の逆転有罪とした2審判決が確定する。

 決定によると、久未被告は2006年7月21日夜、旭川市内のショッピングセンターで買い物中だった女性(当時27歳)を約5分間、約40メートルにわたり付け狙い、背後の約1〜3メートルの至近距離からカメラ付き携帯電話でズボン姿の尻を中心に撮影したという。

 被告側は「衣服の上からの撮影で犯罪性がない。条例で禁じられる『みだらな言動』の内容が不明確」と主張していた。

 争点となったのは「みだらな言動」の解釈。最高裁第3小法廷の藤田宙靖裁判長は「社会通念上、性的道義観念に反する下品な言語や動作」と定義し、その上で「ズボンの上からの撮影でも被害者が恥ずかしがり、不安を覚える行為で、条例違反は明白だ」とした。

 被告の撮影した写真は後ろ姿の背中や尻など下半身が中心。大半の写真の中央部には尻が写っていた。

 昨年3月の1審の旭川簡裁判決は「写真は尻だけが局部的に撮影されたものはなく、後ろ姿全体を撮影しようとした可能性がある」と無罪を言い渡している。

 しかし昨年9月の札幌高裁は「被告は公共の場で執拗(しつよう)に後を付けながら隠し撮りし、女性を羞恥(しゅうち)させた」と指摘。「尻を狙ったのは明らかでみだらな言動」と逆転有罪とした。

 今回の最高裁決定でも裁判官5人のうち、田原睦夫裁判官だけは反対意見を述べている。ズボンをはいた尻は誰でも見られるとの前提に立ち「撮影はのぞき見とは違う。尻の撮影自体がみだらなのか疑問で、尻だけを撮影したとも認められず、無罪」とした。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081114-OHT1T00087.htm