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2008年11月14日(金) 06時03分

中国で“口パク”禁止!北京五輪開会式の批判で規制かスポーツ報知

 中国の通信社・中国新聞社によると、文化省は13日までに、コンサートなどで歌手が“口パク”をしたり、録音済みの曲を生演奏に見せかけて流したりすることを禁じる規定を公表した。中国では北京五輪の開会式で、革命歌曲を歌った少女の声が別人の声だったことが判明。社会的な反響を呼んでいた。今回出された規定では“口パク”などを行った歌手や芸術団の名前を公表し、2年以内に再び行えば免許を取り上げるとしている。

 中国文化省が公表した規定では、事前に録音した歌や演奏を会場で利用する行為を「偽歌」「偽演奏」と定義。「歌手は口パクで聴衆をだましてはならず、コンサートの主催者も口パクを演出してはならない」としている。

 もしこうした“偽装”で客をだました場合、その歌手や芸術団については名前を公表し、2年以内に再び行った場合は上演許可の免許を取り上げるという。規定について30日まで一般からの意見を公募するが、骨子に変更はない形で最終決定する見通しだ。

 中国で“口パク”が社会的な問題となったきっかけは、8月8日の北京五輪開会式での出来事だった。子役としてテレビなどで活躍していた林妙可さん(当時9歳)がメーン会場に登場。革命歌曲「歌唱祖国」を見事に“歌いあげ”「微笑の天使」と称賛されて国民的ヒロインになった。

 しかし後日、実際に歌っていたのは当時7歳の小学1年生・楊沛宜さんだったことが判明。開会式の音楽を担当した作曲家の陳其鋼氏は、楊さんの「声が一番よく」、一方でルックスは林さんがよかったための演出だったと説明したが、五輪組織委員会は、インターネット上やメディアで猛批判を浴びた。

 林さんは9月1日に放送されたテレビ番組で、北京五輪の主題歌「私とあなた」を生歌で披露。楊さんほどうまくないが、子供らしい愛嬌(あいきょう)のある歌い方だった。テレビや映画などの出演オファーが殺到し「芸能活動が忙しくて学校に行っていない」との情報も一部で報じられた。

 一方、楊さんのショックは大きかったと言われる。開会式後、林さんが出演する娯楽番組を見た翌朝、楊さんが歯形が残るほど強く自分の腕をかんでいたのを家族が発見した。両親は楊さんをメディアから守るため「遠く」に移したとされる。

 中国のメディア関係者によると“口パク問題”は「開会式直後は国内でも大変、議論になりましたが、今はもう過去の話。しかし子供にウソをつかせるのはよくない。規定の制定はいいことなのではないでしょうか」と話していた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081114-OHT1T00086.htm