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2008年11月14日(金) 00時00分

「今は節約しか…」読売新聞


節約傾向が高まり、売り上げが伸びている家計簿(名古屋市中区の東急ハンズANNEX店で)=稲垣政則撮影
家計簿つけ 買い物は自転車

 不透明な景気の先行きに備え、家庭では生活防衛の意識が高まりつつある。

 名古屋市中区の東急ハンズANNEX店では、家計簿が売れている。約100種類の家計簿が並ぶ8階文具売り場を訪れた同市北区の主婦(30)は、「不景気と騒がれているので、不要な出費を抑えるためにも毎月のお金の動きを把握する必要がある」と話し、1冊を買い求めた。

 同店によると、10月の売り上げは前年同月比20%増。レシートをはり、スクラップ感覚で金額が集計できるものや、使えるお金を前もって袋分けできる家計簿が人気を集めている。「30、40代の主婦層に加え、20代の女性も手に取るケースが目立つ」という。

 同市中村区のジュンク堂書店名古屋店では、主婦を中心に、弁当やおかずに関する本が人気だ。「主婦の節約対策の一つとして、弁当に注目が注がれているのではないか」と、同店は分析している。

 自宅から車で約5分ほどの愛知県安城市のスーパー。幼稚園や保育園に通う子ども3人を連れた主婦(30)が、値上がりが続く食材の品定めをしていた。「ガソリン高騰が収まったとはいえ、家に5台の車があり家計にはかなり響く。片道30分かかるショッピングセンターにはめったに行かなくなりました。買い物は近めのスーパーで済ませることが多い」と話す。

 祖父母ら7人家族。将来のしかかる教育費などを考えると、支出を減らすには少しでもガソリン代を削るしかないという。公務員の夫は弁当持参。「ささやかだけど、今はやれることをやり、節約するしかない」

 名古屋市中区のデパートに、近くに住む女性会社員(61)は自転車で来ていた。「以前は車でしたが、駐車場代とガソリン代を節約するため、自転車を使うようになりました」。燃料費を節約するため、家では、家族で短時間で風呂に入るようにしている。

 金融広報中央委員会が6、7月、全国の家族2人以上の7968世帯に実施したアンケートによると、貯蓄残高が1年前より減ったと答えた世帯は、約4割に上った。これに対し、増えたと答えた世帯は半分の2割。貯蓄残高が減少した理由については、「定例的な収入が減ったので貯蓄を取り崩した」という答えが最も多かった。

 生活防衛に走る消費者の動きを、売る側も敏感に感じ取っている。

 スーパーでは低価格が魅力の自主企画商品(プライベートブランド=PB)が好調だ。食料品を中心に約5000種類のPBを販売するイオンでは8月、メーカー品より50円以上安いカップめん(88円)が3・5倍、約70円安いカレールー(128円)が1・6倍売れた。10月に発表した中間連結決算で、PBの売上高は前期比38%の大幅増を記録した。

 中古品買い取り販売「コメ兵」の担当者は、「これまでは新しい商品を購入するために、中古品を持ち込む人が多かったが、最近は現金にして保管しておくために売る人が多いように思う。新品のブランド品の売れ行きも鈍化している」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/kishimu/kishimu081114_02.htm