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2008年11月14日(金) 11時50分

複数の惑星を持つ恒星系の直接撮影に初めて成功WIRED VISION

天文学者が、われわれの住む太陽系以外で複数の惑星を持つ恒星系の直接撮影に初めて成功した。

研究チームは、ハワイ島のマウナケア山にあるジェミニ北望遠鏡とW.M.ケック天文台において、地球からおよそ130光年離れた恒星『HR 8799』の軌道上を周回する3つの惑星を赤外線で観測した。

『Science』誌の電子版『Science Express』に2008年11月13日付で掲載された今回の発見は、地球以外の惑星、さらには地球外生命の探索における前進といえる。

今回発見された恒星系は、われわれの太陽系と比べるととてつもなく大きい。3つの惑星はすべてガスでできた巨大惑星で、うち2つは木星の質量と比べておよそ10倍、1つはおよそ7倍の重さがある。

また、3つの惑星の中心にある恒星は、太陽の1.5倍の質量を持ち、5倍明るい。3つの巨大惑星(上の写真に写っているのはそのうちの2つ)が周回している距離は、地球から太陽までの距離のそれぞれ25倍、40倍、70倍だ。仮に地球サイズの惑星があったとしても、現在の技術では小さすぎて見ることができない。

「今回の発見は、(太陽系外惑星の)探索を真に前進させるきっかけとなるものだ。今後さらに技術を改良して探索活動を続ければ、おそらくいつの日か、われわれの地球により近い天体を発見できるだろう。宇宙におけるわれわれの地位に関する視点を得られるという点で、このような目標は非常に心躍るものだ」と、ジェミニ天文台のPeter Michaud氏は取材に対して語った。

遠く離れた場所にある恒星系の発見自体は目新しいことではない。現時点で知られている太陽系外惑星の数は300を超えている。だが、直接撮影に成功した惑星はほとんどなく、実際には、その多くが分光法と呼ばれる手法を利用して発見されている。これは、軌道を周回する惑星によって恒星が引っ張られるために発生する、恒星のわずかな揺れを計測するという方法だ。

「分光法では、惑星の気配を観測しているのであって、惑星そのものを見ているのではない」とMichaud氏は説明する。

Video: 2MASS/UMass/IPAC-Caltech/NASA/NSF

カナダ学術研究会議のヘルツバーグ天体物理学研究所に所属するChristian Marois氏が率いる研究チームは、補償光学と呼ばれる技術を活用し、今回の撮影に成功した。これは、地球の大気の揺らぎによって起こる光の乱れを、望遠鏡の可変形鏡を使って相殺するという技術だ。

今回の惑星は、恒星からの光を反射するだけでなく自分自身も光を放っているため、若干ではあるが比較的撮影しやすい惑星だった。科学者たちの推定によると、これらの惑星が形成されたのはおよそ6000万年前で、まだ完全には冷え切っておらず、収縮して惑星になる途中の段階だという。

「これらは、若い恒星系の中にある非常に若い惑星で、まだ暖かい状態だ。赤外線で観測できたのはそのためだ——これは好都合だった」とMichaud氏は語った。

なお、これらの惑星が恒星の周りを周回していることは、それらの相対的な動きを観測することから確認されている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081114-00000005-wvn-sci