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2008年11月13日(木) 21時04分

プロシード、コールセンター改善の“正しいデータ分析”を指南@IT

 コールセンターの運用・改善支援を行うプロシードは11月13日、イベント「コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2008」で、プライベートセミナー「パフォーマンスマネジメント集中講座」を開催した。
 同社のシニアコンサルタント 澤田哲理氏が、コールセンターのパフォーマンス・マネジメントシステム「COPC2000」の考え方に基づき、コールセンターマネジメントの方法論について講義。IP化やユニファイドコミュニケーションなど、コールセンターの技術面が年々進化している中でも、「自社のコールセンターのゴールを明確化し、それに基づいた指標を設定して、効率よく運用することが業務効率と顧客満足を両立させる鉄則」と、マネジメントの重要性を訴えた。
 近年、コールセンターは“クレーム対応部門”という認識を脱し、企業としての信頼性や顧客満足度の向上に寄与する“戦略的部門”としての認知を高めつつある。ただ、依然としてコスト面の制約は大きく、多くのコールセンターがコスト低減と顧客満足向上の両立を求められている。
 こうした中、センターの運営改善指標となっているのが、「1時間で何件電話に出られたか」といった応答率をはじめとするパフォーマンス・データだ。しかし、多くのコールセンターがデータの収集・分析、運用へのフィードバックに取り組んでいるにもかかわらず、思うような効果が出ていない。こうした状況について、澤田氏は「データ分析に対する認識の誤りが原因だ」と指摘した。
 


 「例えば、応答率の目標値は『どのくらいまでなら顧客満足度を下げずに待ってもらえるのか』を基準に考えるべきで、ただ電話に出るまでの時間を短縮したり、対応件数の増加を狙えばいい、というものではない。目標値を設定する目的を明らかにし、設定が適切なものかどうか、目的に照らして精査することが大切だ」(澤田氏)
 効率性の指標として「オペレータの1時間当たりの対応件数」があるが、コールセンターに1時間当たり何件電話があり、1人のオペレータに何件のコールが振り分けられるのかも合わせて考える必要があるという。「オペレータ1人当たりの対応件数だけを基準にしても、オペレーションの問題なのか、オペレータのスキルの問題なのか、判断することはできない」(同氏)。
 平均対応時間(アベレージ・ハンドリング・タイム)もよく使われる指標だが、平均値からはオペレータ1人1人の対応時間のバラつきが読み取れない。しかし対応時間のバラつきは「1人1人の顧客体験にバラつきがある」ということであり、「センターとしての品質、パフォーマンスが不安定」ということでもある。澤田氏は、この点についても「きちんとした考えに基づいて目標を設定し、1人1人のオペレータの問題を把握して、合理的に目標値に近付けていくべきだ」と力説した。
 「コールセンターはできるだけシンプルな指標で管理した方がいいといわれているが、その結果、見失ってしまうものも多い。特にコスト削減と顧客満足度向上の両立が求められているいま、サービスレベルとは、単に応答件数を増やしたり、時間短縮を図ったりと、センターとしての平均点の向上を狙うようなものではない。明確な目標を立て、適切な指標を設定し、目標に応じてパフォーマンスを先鋭化させていくことが大切だ。監査している多くの企業においても、実際そうしたトレンドにある」(同氏)
 澤田氏は、こうした見解に基づき、プロシードが統括しているパフォーマンス・マネジメントシステム「COPC2000」を紹介した。COPC2000は、顧客満足度向上に効果的なオペレーションを行うためのマネジメント手法や指標策定、測定方法などをまとめたフレームワークで、グローバルでは1400社が活用。これに基づいて指標を設定、計測し、改善に活かしていくことで「センター業務の効率と品質の両立、売り上げ増大、コスト削減を着実に実現できる」という。
 また、COPC2000に基づいて確実にPDCAサイクルを回すことにより、一見、相反するように思える「効率と品質」も両立できるという。「例えば、確実な対応ができていれば電話応対は1回で済み、余計な時間・コストがかからない。顧客側はストレスなく問題を解決でき、センター側は次の対応にスピーディに移れる」(澤田氏)。
 最後に、澤田氏は、「最も重要なのは自社のコールセンターという組織が、最終的に何を狙うのかを明確化すること。そのうえで正しい方向に向かって進めているか確認できる計器類を持ち、きちんと使いこなせば、大きな成果が望めるはずだ」とまとめ、あらためてCOPC2000の積極的な活用を訴えた。 

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