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2008年11月13日(木) 11時45分

トヨタの収益一気に「凋落」 拡大戦略のツケ重くのしかかるJ-CASTニュース

 トヨタ自動車が2008年11月6日に発表した09年3月期連結決算(米国会計基準)の営業利益予想は、前期比73.6%減の6000億円(従来予想は1兆6000億円)で、大幅な下方修正となった。連結営業利益の1兆円割れは01年3月期以来8期ぶりになる。右肩上がりの業績を誇り、好調な日本経済の象徴だった国内トップ企業、トヨタのちょう落は、世界的な金融危機と景気悪化が日本にも着実に悪影響を及ぼしている実態を浮き彫りにした。

■北米では自動車ローン審査の厳格化も響く

 トヨタの売上高予想は同12.5%減の23兆円(同25兆円)、最終(当期)利益予想は同68%減の5500億円(同1兆2500億円)。連結業績予想を減額修正するのは、06年に通期予想の公表を開始してから初めてのことだ。さらに通期で減収減益に陥る見通しは00年3月期以来9期ぶりというから。まさに惨たんたる状況だ。

 こうした事態を招いたのは、米国を筆頭にする世界消費の急激な落ち込み、そして円高だ。トヨタは今回、子会社のダイハツ工業、日野自動車を含むグループ3社の連結販売台数の通期見通しを、8月に公表した874万台から824万台に引き下げたが、世界の主力市場は軒並み悪化する見通し。北米では53万台、日本でも10万台、欧州では7万台、それぞれ減少する見込みという。

 08年9月中間決算の実績も、グループの販売台数は前年同期比5万1000台減の425万台と低迷ぶりは激しい。特に北米が厳しく、同14万台減。米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発した景気低迷に加え、金融危機が深刻化した9月以降、自動車ローン審査の厳格化 が響き、販売の冷え込みは自動車全体に広がった。

 日本国内では同1万台増だったが、円高で輸出の採算が悪化した。前期実績の為替レートは、1ドル=114円、1ユーロ=162円だったが、世界的な経済の変調の中、円高が急速に進行しており、トヨタは下期の想定レートを1ドル=100円、1ユーロ=130円に修正した。

■拡大戦略の見直し始まるのか

 業績悪化には世界経済の変調や為替などの外部要因が大きく、同社の木下光男副社長は決算会見で、「かつて経験したことのない極めて厳しい環境」と強調。しかし外部要因だけでは説明できない根本的な要因もある。

 トヨタはこれまで、世界各地で新しい工場を建設し続け、拡大戦略をとってきた。そのおかげで世界トップの米自動車大手、ゼネラル・モーターズ(GM)に追いつき、今や世界販売でGMを上回る規模になろうとしている。しかし、この拡大戦略は、世界市場が一度収縮に傾けば、逆に負担になる。工場の減産や停止、従業員の削減には簡単に手がつけられないためだ。

 トヨタが従来の拡大戦略の見直しを始める可能性が出てきた。


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