記事登録
2008年11月12日(水) 12時05分

<教科書>指導要領外の記述が自由に 文科省毎日新聞

 文部科学省は12日、学習指導要領の範囲を超えた「発展的な学習」の教科書への記載について、「小中学校は全体の1割程度、高校は2割程度」とする現行の上限規定を廃止することを盛り込んだ制度改定原案を、教科用図書検定調査審議会に示した。審議会の作業部会も同日、承認し来年度の検定から適用され、厚みを増した新しいスタイルの教科書が登場することになりそうだ。

 審議会は、学ぶ内容が増える新学習指導要領が11年度以降に全面実施されることに合わせ、教科書の改善方法を検討してきた。

 教科書に指導要領の範囲外の内容を記述することは、02年8月の検定基準改定で「本文では記述せず、発展学習であることを明示する」などの条件付きで認められた。記述量は示されていないが、文科省は検定で小中学校1割程度、高校2割程度を上限として運用、教科書会社もその範囲内で申請してきた。

 審議会ではこれまでに「理解力や学習段階などに応じて知識を活用し、探求していけるような教科書が望ましい」などの意見が出た。文科省も「教科書構成上の配慮や工夫が必要」と結論を出しており、政府の教育再生懇談会は7月に「国語、理科、英語でページ数を倍増すべきだ」と提案している。このため教科書に指導要領の範囲を超えた内容が大幅に加えられる見通しだ。

 文科省の原案は「補充的な学習」として例えば小学校算数の学習内容を中学校数学の教科書で取り上げることを認めるよう検定基準を見直すことを提案。児童生徒が学習済みの内容を反復したり、家庭で自習しやすいように練習問題を充実させることも示した。漫画などのイラストや写真の多用は子供たちの想像力を阻害するとして、避けることを求める記述も盛り込んだ。

 審議会が年内にもまとめる最終報告を受け、文科省は検定基準を改定する方針。【加藤隆寛】

【関連ニュース】
10月大会参加募集
李・韓国大統領:日中韓の連携訴え 金融危機契機、再び実利路線に−−3社共同会見
学力って何?:学習指導要領改定/上 加速する私立志向 公立校の焦り
学習指導要領:小中の改定案 脱ゆとり、授業時間増 主要教科で1割、理数や道徳充実
学力って何?:学習指導要領改定/下 進む理科離れ、必修化する柔道

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081112-00000036-mai-soci