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2008年11月12日(水) 00時04分

配当金が7年ぶり減少へ 1部上場企業、09年3月期中国新聞

 東京証券取引所第一部に上場する主要企業の二〇〇九年三月期の配当金総額が、〇二年三月期以来、七年ぶりに前期実績を下回る見通しであることが十一日、新光総合研究所の調べで分かった。

 業績悪化に加え、金融危機で大手企業でさえ資金調達に不安を感じ始めており、手元資金の流出を抑制したいとの姿勢が強まっていることも配当減額の背景となっている。ただ、配当政策は株価下支えや買収防衛に重要な手段のため、利益に占める株主への還元は一定程度、維持せざるを得ず、企業を取り巻く環境は厳しさを増している。

 新光総研の十一日時点の集計(一部予測含む)では、〇九年三月期の配当金総額は六兆七千百二十一億円となり、前期実績の六兆七千百七十億円を下回る見通し。従来は過去最高を更新する見込みだったが、九月中間決算発表時に配当予想を引き下げる企業が急増。赤字転落を含む業績の下方修正は今後も続くとみられ、最終的な配当総額が一段と落ち込む可能性がある。

 原材料の高騰などで減益を見込む帝人は、年間配当予想を八円から六円五十銭に引き下げた。北米市場での販売が大きく落ち込んでいる日産自動車は、中間配当を前年の二十円から十一円に引き下げ、四十二円を予定していた年間配当は「未定」としている。

 一方で、来年三月期は配当総額が減少に転じるとはいえ、利益をどれだけ株主に還元するかを示す配当性向は、前期比で7・7ポイント増の34・5%に上昇する見通し。武田薬品工業は「安定的に配当を増やし株主に報いたい」として、減益予想ながら増配する方針だ。

 大和総研の浜口政己はまぐち・まさみシニアアナリストは「経営者は一時的な業績悪化なら減配は避けたいところだが、来期以降も厳しい状況が続くとみているようだ」としている。

 集計対象は、東証一部上場のうち継続してデータを取得できる三月期決算の千二百二十七社。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811120106.html