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2008年11月12日(水) 00時04分

陳前総統の逮捕手続き開始 汚職疑惑で台湾最高検中国新聞

 【台北11日共同=浜口健】台湾の陳水扁ちん・すいへん前総統(57)は十一日午前、総統府機密費の不正流用疑惑などを捜査している最高検の要請を受け、事情聴取のため出頭した。最高検は台北地方裁判所で逮捕手続きを開始、陳氏は手錠をかけられた姿で地裁に向かう車に乗せられた。逮捕されれば台湾総統経験者で初めてとなる。

 陳氏は二〇〇〇年、民主進歩党(民進党)初の総統として就任、今年五月まで二期八年を務め、台湾の自立化路線を進めた。逮捕は党再建を図る民進党にとって大打撃となり、与野党対立の激化も予想される。

 最高検は国民党の馬英九ば・えいきゅう政権発足を機に、捜査の本格化を宣言。陳氏の聴取は今回で五回目だが、九月以降、元側近ら計九人を拘束し捜査を進めてきた。

 台湾メディアによると、陳氏の関与が疑われているのは総統府機密費の不正流用や、海外の銀行口座を使ったマネーロンダリング(資金洗浄)など五件。最高検は二カ月以内の拘束期間中に起訴するかどうかを決める。

 一方、最高検前には十一日、陳氏の支持者多数が集まり、無罪を主張。機動隊や警官ら数百人がバリケードなどを設置したほか、拘置所前などを含め、治安当局は約五千人態勢で抗議行動を警戒している。

 陳氏は出頭前「『台湾の主権』を強く主張する自分は、統一に向かう国民党と(中国)共産党にとって最大の邪魔者だ」と述べ、捜査は政治的なものだと強調した。

 機密費不正流用をめぐっては、〇六年、陳氏の呉淑珍ご・しゅくちん夫人らが横領罪などで公判中。陳氏は当時、総統の不起訴特権で起訴猶予となった。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811120105.html