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2008年11月12日(水) 18時23分

【元Vシネ女優2回公判ライブ】(15)「傷をつける動機はある」…検察側の主張は「SMの延長」産経新聞

 《30分を超える休廷をはさんで、法廷は再開。女性検察官が論告を読み上げはじめた。木村衣里(えり)被告は弁護人の前に姿勢良く座っている。まばたき以外は微動だにしない》

  ■写真&法廷ライブ■ 元Vシネ女優の傷害致死事件〜公判の全記録

 《裁判員制度を意識しているのだろう。検察官の背後にあるテレビモニターとホワイトボードに、論告のポイント表が記されている。約40人の傍聴人が一斉に検察官を見つめる。女性検察官は指揮棒のような棒で要点を指し示しながら説明を続ける》

 検察官「法廷で検察側の主張は十分されたと確信しています」

 《検察官は、(1)衣里被告は藤家英樹さんを刺していない(2)仮に刺したとしても、死亡と因果関係がない(3)衣里被告には完全責任能力がない−という弁護側の主な主張3点を改めて説明した後で、事細かに反証していった》

 検察官「弁護人は、被害者がエレベーターを降りてから廊下で刺された可能性を指摘しています。ですが、何者かが侵入して果物ナイフを持ち出して刺したという状況は想定しがたいです。廊下で刺されれば傷口が乱れます」

 《検察側は、殺害の実行行為者が衣里被告であり、第三者による殺害はあり得ないことを述べた》

 検察官「被告は(犯行直後に)119番通報しており、具体的に状況を話しています。誰かが侵入していないことは通報内容からも認められます。第三者による犯行可能性の余地はまったくありません」

 《冒頭陳述と証拠調べをおさらいするかのように、論告は読み上げられていく。検察官が犯行動機を話し始めると、法廷に緊張感が走った》

 検察官「被告は何も語っておらず、真の動機は明らかにできません。SM嗜好があり、お互い暴力をしてから性行為をしていました。本件はSMプレーの行き過ぎによる犯行です。殺害の動機がなくても、傷をつける動機はあるのです」

 《この説明は、検察側が殺人罪や過失致死罪を適用せず、傷害致死罪を適用した本質的な説明でもある》

 《論告読み上げから30分を過ぎると、内容は情状関係に移った》

 検察官「被害者は余命幾ばくもなかったが、被告を信じて楽しく生活していたはずでした。また遺族も厳重な処罰を求めています」

 《ついに、求刑が読み上げられた》

 検察官「被告には、情状面もあります。本件はSMプレーの行き過ぎによるものです。また、自ら119番通報もしています。前科前歴もありません。これらは被告には有利な情状です。ですので、懲役4年に処するのが相当です。以上です」

 《傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役。「懲役4年」という今回の求刑はその最低ラインに近いものだ》

   =(16)に続く

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