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2008年11月12日(水) 16時04分

【元Vシネ女優2回公判ライブ】(11)供述の矛盾つく検察官に「うーん。分かりません」連発産経新聞

 《検察側の被告人質問が続く。木村衣里(えり)被告はこれまでに、死亡した藤家英樹さんから暴力を受けていたことを明らかにしているが、男性検察官は暴力の実態を尋ねた》

  ■写真&法廷ライブ■ 元Vシネ女優の傷害致死事件〜公判の全記録  検察官「これまで、あなたは藤家さんから一方的に暴力を受けていたように話していますが」

 衣里被告「まあ当然、抵抗もしますし、防御もしますし。取っ組み合いっぽくなることはありますが、彼はけんか慣れしているので1発2発が重いんです。1発くらってしまえば、彼が放出しきるまで終わりません」

 《暴力によって打撲や、時には頭を縫うけがを負ったという衣里被告だが、当時を振り返る語り口はいたって冷静だ》

 検察官「あなたも殴ったりけったりしたんですか?」

 衣里被告「殴ったりけったり…。それが(藤家さんに)当たっていたかは分かりませんが」

 検察官「藤家さんは(平成19年)6月と10月に入院していますね。その時期、藤家さんはつえをついていたということですが、このときも暴力はあったのですか?」

 《藤家さんはアルコール依存症などで、6月5日から9月21日まで入院生活を送っていた。このとき、つえをつくほど弱っていたといい、検察側はそんな状態で暴力をふるえるのか疑問を呈した》

 衣里被告「入院していたため、接していないので暴力もなかったです」

 検察官「あなたの前ではどうでしたか?」

 《検察官は入院期間中だけでなく、退院後についても聞いた》

 衣里被告「徐々につえがなくなり、今年に入ってからは走れるくらいになりました。つえをつかないと歩けないときもありましたが、そのときは暴力は受けていないと思います」

 《次に、検察側は事件当日について質問した。衣里被告は自ら119番通報し、警察にも「夫(藤家さん)がけがをして帰ってきた」と説明していた》

 検察官「警察には当初、藤家さんが外でけがをしたと説明しましたか?」

 衣里被告「していました。初めに見たのが、(藤家さんが)ベッドの上に倒れていて、その後に(マンションの)エレベーターとエントランスの血を見て、外から帰ってきたのかなと考えました」

 《事件当時、エレベーターとエントランスの床からも血痕が見つかったが、検察側は後の鑑定で、これは「藤家さんが既往症の肝硬変により吐血したもの」と結論づけている》

 検察官「119番した際、どのような話をしたという記憶がありますか?」

 衣里被告「『とにかく(藤家さんが)出血していて、その出血がおなかなのか背中なのかは分からないが、すぐ来てくれ』と言ったと思います」

 検察官「(救急の)記録には『彼が帰ってきて、お酒飲んでるみたいなんですが、ぶつけて腹や背中から血が出ています』と残っていますが?」

 衣里被告「そういったかもしれません」

 検察官「『彼が帰ってきて』というのは、どうしてそう思ったのですか?」

 衣里被告「エレベーターとエントランス(の血)をみて、(外でけがをして帰ってきたと)確信しました」

 検察官「『お酒を飲んでるみたい』とありますが、あなたは藤家さんがお酒を飲んでいるのを知っていますよね? どうして『みたい』なのですか?」

 衣里被告「言葉遣いについては…。(藤家さんの)出血に驚いてしまったというのもあると思います」

 《衣里被告はこれまで一貫して、「事件当時の記憶がない」と話している。しかし、救急隊員への説明には疑問点も多いため、検察官は証言の矛盾を突く狙いのようだ》

 検察官「それから119番した後、自宅に来た救急隊員とどんな話をしたか記憶がありますか?」

 衣里被告「『何があったかは分からないけれど、彼が転んだかもしれない』というようなことを言ったかもしれません。冷静でなかったので、どう言ったか分かりませんが…」

 検察官「『彼は飲んで帰ってくるといつも暴れる。止血しようとしたが暴れた』と言ったんじゃありませんか?」

 衣里被告「そうかもしれませんが、なぜ(そんなことを)言ったのか、冷静になってみると分かりません」

 検察官「藤家さんが1人で帰宅したのを覚えていたのではありませんか?」

 衣里被告「覚えていたのではなく、彼は私が寝ている間にお酒を買いに行くことがよくあったので、そうなのかなと思いました」

 《事件当日、2人がコンビニから帰宅した後、藤家さんは1人で外出している。藤家さんの帰宅後に悲劇は起きたが、衣里被告の記憶はあいまいだ》

 検察官「さきほど、(藤家さんの背中の切り傷に)○○(瞬間接着剤の商品名)を塗ったとき、藤家さんは暴れたりしなかったと言っていますよね」

 衣里被告「暴れてはいませんでしたし、彼が『○○を塗ってくれ』と背中を差し出して来たんです、なぜ、(救急隊員に)そういうこと(止血の際に暴れた)を言ったかは分かりません」

 検察官「(事件後の)1月28日に受診した神経外科で、医師にどういう話をしましたか?」

 衣里被告「その日は、警察の人や母と(病院に)行ったと思います。『(事件当日に)どういうことがあったのか、私から直接先生に言わない方がいい』と警察の人に言われたので、あまり詳しい話はしていないと思います」

 検察官「カルテには、『藤家さんに暴力を受け、最後に相手が刃物を持ち出した』とありますが」

 衣里被告「うーん…。分かりませんが、警察の方が(話を)されたんではないですか」

 《矛盾点を次々と突かれた形だが、衣里被告はいらだちを見せることもなく、落ち着いた様子で質問に答えている。しかし、2人の間に何があったかは、相変わらず分からないままだ》

     =(12)に続く

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