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2008年11月12日(水) 13時20分

【元Vシネ女優2回公判ライブ】(7)凄絶な暴力、仲直り…10年間受け入れた「不器用な愛情表現」産経新聞

 《せい惨な暴行の様子が衣里被告の口から赤裸々に語られる。衣里被告は時折、手ぶりを交えながら訴える。検察側は暴行が主にSM行為によるものだったと主張しているが、弁護側は衣里被告の証言によって、藤家さんの一方的な暴力と印象づけたいようだ》

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 弁護人「(藤家さんから暴行を受けた際に)抵抗はしなかったのですか?」

 衣里被告「とにかく彼は顔を殴ってくるので、私は顔を隠そうとしていました。それでも彼は顔を開かせようとします。私と彼は身長差がほとんどなく、私の手と彼の顔が同じ位置にあるので、もみ合いになって、(藤家さんの)顔をひっかくことがあります」

 弁護人「抵抗はしていたということですね?」

 衣里被告「はい」

 《衣里被告は逮捕直後の取り調べの際に顔がパンパンに腫れていたことを捜査員から指摘され、鼻が折れていることに気づいたという。2人の間では、どんな暴力があったのか。女性弁護人の質問は続く》

 弁護人「藤家さんの暴力で受けた主なケガをあげてください」

 衣里被告「眼底出血、ほお骨の骨折、携帯電話で殴られて頭がぱっくりと割れたこともあります。全身打撲で2、3週間動けなかったこともありますし、あごの骨にヒビが入ったとか…」

 弁護人「病院に通うことはありましたか?」

 衣里被告「はい、ありました」

 弁護人「いつも同じ病院でしたか」

 衣里被告「いつも同じ病院だと、医者に変に思われますから、彼からの暴力がバレないように毎回変えていました。年間の医療費は扶養家族もいないのに、数十万円でした」

 弁護人「暴力はいつくらいから始まったのですか?」

 衣里被告「付き合い始めてから2年半くらいのときからです」

 《SM行為での暴力とは違い、藤家さんの一方的な暴力だったとする衣里被告。では、なぜ別れるなどの手段を取らなかったのか?》

 弁護人「あなた自身、どうして殴られるのかと疑問に持たなかったのですか?」

 衣里被告「私も、10年近く殴られ続けてきたので日々考え、悩み続けてきました。最初は『なぜ殴られるのか』と、次に『(藤家さんが)なぜ殴るのか』と考えました。彼の気持ちを必死に考えて、私なりに確信して出した答えは、暴力は彼の不器用な愛情表現だということです。私はそれを受け入れようと思いました」

 弁護人「別れようとは思わなかったのですか?」

 衣里被告「正直、(暴力は)やめていただきたいと思っていましたが、『暴力は不器用な彼の愛情表現』と考えていたので、別れようとは思ったことがありませんでした」

 《搬送先の病院で死亡した藤家さんの話をする際には涙も見せていた衣里被告だが、暴力の話には感情を押し殺しているのか、抑揚のない声で淡々と答えていく》

 弁護人「藤家さんになぜ暴力を振るうのかと聞いたことはありますか」

 衣里被告「『このまま殴り続けると衣里を殴り殺すかもしれない』『衣里への暴力を止めることができない』と頭を抱え込んで悩んでいるようでした」

 弁護人「暴力の後は、どうなるのですか」

 衣里被告「暴力は私がぐったりして動かなくなるまで続けられます。とことんまで殴られ続けます。そして私がぐったりした姿を見て、彼は『オレが悪い。衣里にわびを入れる』と言って自分を傷つける。自虐行為を始めます」

 弁護人「自虐行為とはどんなことをするのですか」

 衣里被告「私を殴っていた瓶や缶で自らを殴ってみせたり、ナイフなどを取り出して手首を傷つけたりとか。あとは、自分で傷つけたナイフを私に持たせ、私に傷つけさせようともします」

 弁護人「必ず、そうするのですか」

 衣里被告「(藤家さんが)怒ったまま帰ってしまって、何もないときもありますが、一緒にいて『オレが悪い…』となるときが、今となっては多いように思います」

 《藤家さんの背中の刺し傷については検察側と弁護側で争いがある。検察側は衣里被告が刺したものとするが、弁護側は自虐行為の延長という線を印象づけようとしているようにみられる》

 弁護人「ナイフで傷つけられたことは、どれくらいありますか」

 衣里被告「多々あったような気がします」

 弁護人「ナイフとは、事件で使われたとされる果物ナイフのことですか」

 衣里被告「果物ナイフもあるし、家にあった文化包丁だったりとか、ハサミのときも。あとは、彼が持っていたジャックナイフだったり、いろいろあります」

 弁護人「藤家さんが自分でナイフで傷つける以外に(ナイフが使われることが)ありましたか」

 衣里被告「自分の身体に刃を押しつけた上で、私に柄を持たせようとします。私の手を引っ張って誘導し、力ずくで傷つけさせようとします」

 弁護人「刃物が当たったりしないのですか」

 衣里被告「ナイフの取り合いになってもみあった際に、手とか身体が傷つくことがありますが、いくら暴力で思うように動けない状態でも、(自分は)必死で止めようとします」

 弁護人「言われて刺してしまったことは」

 衣里被告「ありません」

 弁護人「自虐行為の後は」

 衣里被告「仲直りというか、常にというわけではありませんが、セックスをすることが多いです」

 弁護人「あなた(衣里被告)から求めたのですか」

 衣里被告「(藤家さんからの暴力で)動けなくなっているし、私の中ではそんな気分ではありません。でも、彼がセックスがしたいのならと、受け入れていました」

 《暴力→自虐行為→セックス…。衣里被告によるとふたりの間では、10年近くもこのサイクルを繰り返していたという》

    =(8)に続く

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