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2008年11月12日(水) 13時06分

【元Vシネ女優2回公判ライブ】(5)傷口に接着剤は「普段から」産経新聞

 《女性弁護人が木村衣里(えり)被告への質問を続ける。死亡した藤家英樹さんは末期の肝硬変と診断されていた。藤家さんの希望もあり、主治医は献身的な介護を行う衣里被告にも病状を説明したという》

  ■写真&法廷ライブ■ 元Vシネ女優の傷害致死事件〜公判の全記録

 弁護人「医師は何と言っていましたか?」

 衣里被告「『お酒を飲めば余命は1年』ということでした」

 弁護人「それは、藤家さん本人も知っていたのですか?」

 衣里被告「はい、知っていました」

 弁護人「藤家さんはお酒をやめようとしていましたか?」

 衣里被告「彼は『酒は薬だ。飲めないんだったら長生きしてもしようがない。やめるつもりはない』と言っていました」

 弁護人「あなたはどうしましたか?」

 衣里被告「(藤家さんは)生活保護を受けていたこともあって自暴自棄になっており、朝から晩までけんかでした。お酒を取り上げようとしても…」

 弁護人「あなたはお酒をやめさせようとしていたのですね」

 衣里被告「はい」

 《検察側によると、藤家さんの姉は「酒を飲んではいけないことを知っていながら、弟に酒を飲ませていたことが許せない」と話していたという。これに対し、弁護側は藤家さん自身の意志で飲酒を続けていたことを印象づけたいようだ》

 《ここで弁護人が「事件当日について聞きます」と前置きした。いよいよ核心に入る》

 弁護人「当日の記憶はありますか?」

 衣里被告「ありません」

 弁護人「忘れたということでしょうか?」

 衣里被告「当初から記憶はありません」

 《衣里被告はこれまでの取り調べに対しても「当時の記憶がない」と話している》

 弁護人「警察にはどのように説明しましたか?」

 衣里被告「『彼より先に寝て、セックスで起こされた。私は寝ていたと思います』と話しました」

 《そして衣里被告は、記憶がない自分を責めるようにこう続けた》

 衣里被告「当日と同じ打撃を受ければ、フラッシュバックで何か思い出せるかもしれない。とにかく、(医療機関を)受診させてほしい、と医師や検事さんにも強く懇願しています」

 弁護人「事件前日の1月25日、2人で自由が丘駅で待ち合わせて帰宅したことは覚えていますか?」

 衣里被告「覚えています」

 弁護人「帰宅してからの記憶はありますか」

 衣里被告「(2月8日から)ハワイに行くことになっていたため、私は旅行会社にメールで確認をしていました。パスタを作って2人で食べ、12(午前0)時過ぎに2人で買い物に行きました」

 弁護人「帰宅は何時ごろですか?」

 衣里被告「12(午前0)時半過ぎだと思います」

 弁護人「それからどうしましたか?」

 衣里被告「私は風邪気味だったので、寝る支度をしてベッドに入りました」

 弁護人「藤家さんはどうしていましたか」

 衣里被告代「TVを見ながら(酒を)飲んでいました。『もう寝るの?』と私の体をさわったりイチャイチャして来ましたが、風邪気味なので断り、そのまま寝ました」

 《検察側の冒頭陳述によると、この後、藤家さんは1人で外出。帰宅した藤家さんの背中を、衣里被告が果物ナイフで刺したとされる》

 弁護人「その次の記憶はどのようなものですか?」

 衣里被告「彼にセックスで起こされました」

 弁護人「どういうことですか」

 衣里被告「なぜか床の上でしたが、もうセックスの最中でした」

 弁護人「その間の記憶はありますか?」

 衣里被告「私は寝ていたと思っていたので、覚えていません。なぜかベッドで寝ていたはずが、リビングの床の上で…。当然、2人の下半身は裸でした」

 弁護人「2人の体勢は」

 衣里被告「私が下で、彼が上でした」

 弁護人「そのとき、あなたはどうしましたか」

 衣里被告「『あ、彼はやっぱりセックスしたかったんだなあ。だから起こされたんだなあ』と思いました」

 弁護人「どのくらいそうしていましたか」

 衣里被告「そのまま抱き合っていたので、10分…。20分…。定かではないですが、数十分単位だと思います」

 《衣里被告は少し考え込むようにしてから、質問に答えた。口調は淡々としていて、どこか他人事のようにも聞こえる。そして弁護人は、問題の瞬間について質問した》

 弁護人「その後はどうなりましたか?」

 衣里被告「いきなり(藤家さんが)『衣里、背中見て』と。上にいた彼がセーターをまくり上げ、背中を見たところ、右のところにシュッときれいな切り傷がありました」

 《「藤家さんが自ら背中を刺した」という、弁護側の主張に沿った発言だ》

 弁護人「血は出ていましたか?」

 衣里被告「出ていませんでした。一直線にきれいな切り傷でした」

 弁護人「周辺の肌に血はついていましたか?」

 衣里被告「ついていませんでした」

 弁護人「藤家さんの着ていたセーターには、血はついていました」

 衣里被告「こげ茶色のセーターということもあり、認識がなく確認もしませんでした」

 弁護人「あなたはどうしましたか?」

 衣里被告「『切り傷みたいになってる。酔っぱらって転んじゃったの?』と聞きました。彼は『血でてる? ○○(瞬間接着剤の商品名)でも塗っといて』と言われました」

 弁護人「どうやって塗ったんですか?」

 衣里被告「傷に直接つけ、親指と人差し指ではさむようにして、こうつけました」

 《衣里被告は指を動かしながら、当時の様子を再現した。しかし、なぜ傷口に瞬間接着剤をつけたのか。誰しも思う疑問を弁護人がぶつけると、衣里被告はこう答えた》

 衣里被告「彼が『外科の手術には○○を使っていて、よくくっつく』ということを言っていたので…。私もそうですが、(お互いの)暴力後の傷も○○でつけていました」

     =(6)に続く

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