記事登録
2008年11月12日(水) 11時54分

【元Vシネ女優2回公判ライブ】(2)「私がついている」…それでも肝硬変の被害者に飲酒させた産経新聞

 《被害者の藤家英樹さんの姉の供述調書の読み上げが続く。姉が木村衣里(えり)被告と初めて言葉を交わして4カ月後の昨年10月になると、藤家さんの主治医は「肝硬変の末期です。回復の見込みはありません。お酒を飲むと3カ月もつか分かりません。免疫力が低下し、けがをすると血が止まりづらくなるので気をつけて下さい」と、藤家さんの病状が深刻であることを姉に告げたという》

  ■写真&法廷ライブ■ 元Vシネ女優の傷害致死事件〜公判の全記録

 検察官「その夕方、衣里さんに『お酒を飲んじゃいけない。飲むと1年持つか分からない』と言うと、『私がついているから大丈夫』と言っていました」

 《続いて、姉の供述調書は幼いころの話へ。父の女性問題が原因で両親が離婚し、藤家さんは祖母に育てられていた。藤家さんが小学1年生のときに両親は元のさやに収まるが、再び父の女性問題で離婚したという》

 《ある日、藤家少年は「お父さんの居場所を突き止めたから、相手に『別れてほしい』と頼みに行こうよ」と姉を誘った》

 検察官「『お父さんを返してほしい』と頼んだら、『もう大人なんだから、自由にしてあげなさいよ』と相手から言われました。英樹は帰りに泣きじゃくっていて、その日から変わってしまいました。成績は良かったんですが、不良とつきあうようになり、高1で中退しました」

 《深い傷を残した少年時代の残酷なエピソードだ。自分に厳しい言葉が投げかけられた場面でも、被告人席に背筋を伸ばして座る衣里被告は微動だにせず、動揺した様子は感じられない》

 検察官「英樹は不動産会社に就職し、平成元年には不動産会社を設立しました。当時はバブル景気で派手な生活をしていましたが、平成7年には倒産してしまいました。10年に内装の会社を設立しましたがこれもうまく行かず、17年か18年には辞めました」「そのため英樹が衣里さんに金を借りたりしていないかと尋ねました。ところが、衣里さんは『そのようなことは一切ないですよ。(英樹さんから)生活費も頂いており大丈夫ですよ』と言っていました」

 《現場は衣里被告の所有する分譲マンション。姉の供述調書からすると、生活保護を受けていた藤家さんが衣里さんのマンションにに転がり込んだというわけでもなさそうだ》

 検察官「英樹はパチンコが好きでしたが、帰ってくると母に景品を渡したり、『総菜が安かったから買ってきたよ』と渡したりしており、わがままですが面倒見のよい弟です。40歳を過ぎると人前で大口を叩いたり虚勢を張ったりしていましたが、本当は気が弱く寂しがりやでもあるのです」

 《弁護側が藤家さんの暴力的な性生活をクローズアップすることに対し、検察側は違った側面を強調したいようだ》

 検察官「英樹は昭和63年に前妻と結婚し平成19年に離婚しましたが、高校1年の長男と小学校6年の次男がいます。2人ともお父さん子で、英樹の部屋によく遊びに来ていました。2人とも部屋でゲームをしているだけでしたが、前妻は『父親と一緒にいるだけでいい』と言っていました。事件当日の1月26日にも、長男と次男は3人で会う約束をしていました」

 《藤家さんが普通の父親でもあったことが強調された》

 検察官「事件後にひっそりと行われた葬儀にはそれでも100人くらいが参列しました。その中に、長男の友達が両親とともにものすごく泣いている姿がありました。私が聞くと、家出した時に英樹が探して両親に引き渡したということでした」

 《姉の供述調書は終盤にさしかかり、再び衣里被告に対する姉の気持ちが述べられていく》

 検察官「衣里さんが疑われていることは感じていましたが、最後まで英樹を面倒みていたのだから穏便に済ませたいとも思いました。ただ、衣里さんは私以上に英樹が酒を飲んではいけないことを知っていたのに、自分が酒を飲みたいがために酒を飲ませていたのは許せません」

 《衣里被告に感情をぶつける姉の供述はさらに続く》

 検察官「英樹は一時は肝硬変で杖をつかなければいけないほどヨボヨボで、前妻にも聞きましたが、言葉の暴力はありましたが、手をあげたことはないということです。一方的に英樹が暴力を振るうことは考えられないのです。すべてを英樹のせいにすることはしないでほしいです」

 《激しいSMプレイを嗜好したとされる側面と、病弱だった側面。どちらが本当の姿だったのか。どちらも本当だったのか。姉の供述調書はこう結ばれた》

 検察官「衣里さんが被害者のような顔をしているのは許せません。長く刑務所に入って欲しいと願っています」

    =(3)に続く

【関連記事】
【元Vシネ女優傷害致死事件】 きょうの法廷ライブ 全記録
【元Vシネ女優傷害致死事件】 初公判の法廷ライブ全記録
元Vシネ女優激白 被告人質問をへてきょう結審
元Vシネマ女優、傷害致死を否認 「SMプレーの行き過ぎ」
大麻所持でプロテニス選手と元AV女優を逮捕

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081112-00000530-san-soci