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2008年11月11日(火) 13時40分

【元Vシネ女優初公判ライブ】(1)オーラ放って出廷の元女優 検察陳述は「性描写」から産経新聞

 《東京都大田区のマンションで今年1月、同居していた無職の藤家英樹さん=当時(53)=の左背中を果物ナイフで刺し、失血死させたとして、傷害致死罪で起訴された元女優の木村衣里(えり)被告(32)の初公判が11日午前10時、東京地裁422号法廷で始まった》

  ■写真&法廷ライブ■ 元Vシネ女優の傷害致死事件〜初公判速報

 《衣里被告は芸能界で活躍していた経歴の持ち主だ。平成8年、大手自動車メーカーのキャンペーンガールとして芸能活動をスタート。その後、レースクイーンを経て女優に転じ、Vシネマに出演したり、写真集を3冊発売するなど活躍の場を広げていた。14年、病気を理由に突然の引退。失意の衣里被告を支えていたのが、交際を続けていた被害者の藤家さんだった》

 《2人が同居していたマンション近くの地元商店街では、仲良く腕を組んで歩いたり、居酒屋で酒を飲み、衣里被告が「パパ」と呼んで藤家さんに甘える姿がたびたび目撃されていた。関係者によれば、藤家さんは事件前に末期の肝硬変で「余命半年」と宣告され、衣里被告は20歳以上も年上の恋人をけなげに支えていたという》

 《“蜜月”の末に起きた凄惨(せいさん)な事件。衣里被告は藤家さんをナイフで刺した後、傷口に瞬間接着剤を塗り続け、傷口を塞ごうとしていた、とされる。「藤家さんが酒を飲むと日常的に暴力を振るわれた」「事件当時の記憶がない」。取り調べ段階で、被告はこう供述していた。公判では犯行の詳しい動機や経緯、その後の異常な行動の理由が明らかになるのだろうか。藤家さんの「暴力」については、捜査関係者の間に「SM行為の延長ではないか」と指摘する声もあるのだが…》

 《当初、衣里被告は警視庁に殺人容疑で逮捕された。その後、鑑定留置となり精神鑑定。東京地検は被告の刑事責任能力は問題ないと判断したが、証拠上から「殺意」の認定が困難として、罪名を傷害致死に切り替えて起訴した経緯がある》

 《この日の公判では、被告の罪状認否や検察側、弁護側双方の冒頭陳述読み上げなどを経て、検察側の証人2人の尋問が行われる予定。あす12日には被告人質問や論告求刑まで進み、結審する“スピード審理”の見通しだ》

 《午前10時すぎ、衣里被告が入廷してきた。その姿に、満員の傍聴席から視線が一斉に注がれる。黒いジャケットに黒いパンツ、首もとが広く開いた白のカットソー。髪は胸まであり、下の方は茶色が残っている。細身でスタイル抜群。顔色は冴えないが、華やかな経歴を誇った独特の“オーラ”を放っているようだ》


 衣里被告「きむら、えりです」


 《裁判官から、予定時間通りに開廷が告げられた。冒頭手続きのため、証言台に立つよう指示された衣里被告は、ゆっくりと移動。小さな声で名前や住所などの質問に答えていく。続いて、検察官が起訴状を読み上げた》


 検察官「被告人は平成20年1月26日午前5時ごろから午前6時40分ごろまでの間、東京都大田区○○の被告人方で、交際していた藤家さんに対し、刃渡り9・8センチの果物ナイフで左背部を1回突き刺し、同日午前7時57分ごろ、××病院で肺損傷に起因する出血性ショックにより死亡させたものである」

 秋葉康弘裁判長「何か言いたいことはありますか」


 《罪状認否である》


 衣里被告「記憶がないので分かりませんが、私の意志で、彼を、大切な彼を傷つけることは絶対にありません」


 《「記憶がない」−。やはり法廷でも同じ主張のようだ。弁護人がこれを補足する》


 弁護人「暴力をふるわれ、意識朦朧(もうろう)状態の中で強制されたもの。責任能力はなく、無罪です。また、藤家さんの死は末期の肝硬変によるもので傷害と死亡との間に因果関係はありません」


 《この主張について、裁判長は「少し分かりづらい」と指摘。他の裁判官と1〜2分間にわたって協議し、被告は席に戻された》


 弁護人「つまり被告を道具に使い自傷行為を行った、もしくは第三者に刺されたという主張です」

 裁判長「公判前整理手続きの際の主張と違う面があるのかな、と理解するのですが…。新たな証拠を請求するのでなければ検察官もよろしいですかね」


 《続いて検察側の冒頭陳述だ。「時系列表」と書かれた大きなボード3枚が、検察官の後方に広げられた。裁判員制度を意識した試みだろうか。やがて女性検察官が立ち上がり、事件概要に触れた後、衣里被告と藤家さんとの関係から説明を始めた》


 女性検察官「被告は藤家さんと10年前以上に知り合い、交際を続けていました。被告は性嗜好(しこう)障害のサドマゾヒズム、いわゆるSM嗜好があり、以前から藤家さんとの間で、お互いに殴る蹴るなどの暴力を振るって性的興奮を高めた後、性行為に及ぶといったSMプレーを行っていました。被告は知人に、藤家さんとの間の暴力がコミュニケーションみたいなものだと話していました」


 《SM、性行為…。公判スタート早々に飛び出した刺激的な文言に、廷内の空気が一変した》

    =(2)に続く

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