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2008年11月11日(火) 18時34分

EMC、待望のクラウド・ストレージ「EMC Atmos」を発表Computerworld.jp

 EMCは11月10日、長らく待望されていたクラウド・ストレージ製品「EMC Atmos」を発表した。ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた製品で、企業がインターネット・ベースのアプリケーションを開発し、大規模な配信を実施するのを支援する。

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 同社のクラウド・インフラストラクチャ部門上級副社長を務めるマイク・ファインバーグ(Mike Feinberg)氏によれば、開発コード「Maui」として知られるAtmosは、何十何百カ所にも分散された数PB(ペタバイト)におよぶ情報を管理できるようデザインされているという。当面は、メディアおよびエンターテインメント企業、テレコム企業、Web2.0およびインターネット・サービス・プロバイダーなどが主な販売対象となる。

 Atmosソフトウェアは、x86サーバに高性能かつ低コストなSerial ATAドライブを搭載したハードウェア(開発コード「Hulk」)に同梱されるほか、単体で購入し、VMwareのHypervisorによって仮想化されたx86サーバにもインストールできる。MauiやHulkの存在については、メディア各社がさまざまな憶測を紹介してきたが、EMCが詳細を明らかにしたのは今回が初めてだ。

 Atmosは、大規模環境向けのストレージ仮想化製品と考えることができる。しかし、米国IDCのアナリストであるベンジャミン・ウー(Benjamin Woo)氏は、「それ以上の働きをする製品だ」と評価する。世界各地で利用できるように、システムを分散化する機能を備えているばかりでなく、オブジェクト・ベース・アプローチを採用したことで、「情報の利便性と検索の効率性が向上している」とウー氏は述べている。

 ウー氏は、「EMCは、Atmosのリリースによって、次世代ストレージ・システムとも言える製品を擁することになった」と述べ、今後、米国 Hewlett-Packard(HP)や米国Sun Microsystemsといったライバル企業が同様の発表を行うだろうと予測した。「こうした製品を活用することによって、ユーザーは、所有している情報資産からこれまで以上の価値を引き出せるようになる」(ウー氏)

 Atmosは、ストレージをブロック化して提供するのに加え、オブジェクトにユーザーが定義したメタデータを付与し、情報の検索および取得を容易にしてくれる。ウー氏は、こうした機能は「訴訟に使用する証拠や規制コンプライアンスに関連したデータを見つけ出すときにきわめて有用だ」と語った。

 ただしウー氏は、「コンピューティングとストレージ容量が共に高密度な環境を想定した製品であるため、ユーザーは既存のサーバやストレージにAtmosを適用するのをためらうかもしれない」と釘を刺している。

 また同氏は、「EMCは、Atmosをビデオや写真の共有サイトのような、大規模なコンテンツ配信サービス向けに開発したようだが、もっと小規模な分野も視野にいれたほうがよいのではないだろうか」と提案する。現在は、ネットワーク、ストレージ、サーバ仮想化を組み合わせるユーティリティ・アプローチを採用し、いわゆる社内クラウドの構築を検討している企業が増えているからだ。「昨今の不況が長引けば、社内クラウドの構築を目指す企業がさらに増えるだろう。ただし、移行はそう簡単にはいかない」(ウー氏)

(Jon Brodkin / Network World米国版)

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