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2008年11月11日(火) 03時06分

メッキ鋼板大手4社、カルテルで業績回復読売新聞

 建材用メッキ鋼板の販売を巡り、大手鋼板メーカー4社が価格カルテルを結んでいたとされる事件で、問題のカルテルは2002年、販売価格の下落や原料コスト上昇に苦しんでいた各社が協議を行い、足並みをそろえて値上げしたのが発端だったことが関係者の話で分かった。

 各社はその後もカルテルを続け、業績回復を果たしていた。東京地検特捜部は11日、公正取引委員会から独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑での告発を受け、各社の捜索に乗り出す方針。

 カルテルを行っていたとされるのは、新日鉄の子会社・日鉄住金鋼板(東京都中央区)、日新製鋼(千代田区)、淀川製鋼所(大阪市)、JFE鋼板(東京都中央区)の4社。このうちJFE鋼板はカルテルを自主申告したとして、告発は見送られる見通しで、特捜部では今後、各社の幹部らを在宅のまま調べるとみられる。

 関係者によると、カルテルが始まったとされる02年当時、業界は競争の激化による販売価格の下落などに苦しんでいた。各社の担当幹部は値上げを行うための会合を繰り返したが、難航したため、社長が集まって事態の収拾を図ったこともあったという。

 以後、4社は毎年のように値上げを行い、そのたびに値上げ幅や時期などについて合意を結んでいた。

 日新製鋼は02年3月期に約170億円の経常損失を計上したが、03年3月期、約63億円の黒字に転換し、04年3月期には約265億円の大幅黒字を計上。合併で日鉄住金鋼板となる前の日鉄鋼板の経常利益も02年3月期の約1億6000万円から、04年3月期には約21億円に増えた。

 公取委と特捜部は、建材用メッキ鋼板で約8割のシェアを持つ4社が利益を確保するために、継続的にカルテルを結んでいたとみて調べている。

 独禁法違反の疑いが持たれているのは、4社の担当幹部らが06年5月ごろ、会合を開くなどし、問屋などに卸す「店売り」と呼ばれる鋼板について、同年7月以降の出荷価格の値上げ幅を1キロあたり10円とすることで合意した行為。各社は同年7月〜8月、合意通り一斉に値上げしている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081111-00000006-yom-soci