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2008年11月11日(火) 02時30分

<DV防止法>努力義務の「基本計画」作成は3市のみ毎日新聞

 1月に施行された改正DV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者間暴力)防止法で、市町村の努力義務とされた「被害者支援の基本計画」を作成した自治体が、全国1782市町村で3市しかないことが内閣府の調査で分かった。同様に努力義務となった「配偶者暴力相談支援センター」設置も8市のみで、取り組み不足の実態が浮き彫りになった。内閣府男女共同参画局推進課は「被害者には地域に根ざした支援が不可欠。努力義務で強制はできないが、お願いを続けたい」と話している。

 01年10月施行のDV防止法では触れられなかった市町村の被害者支援について、04年12月の改正法は自治体の「責務」と位置づけ、支援センターの設置を市町村にも認めた。今年1月の2度目の改正では、支援センター設置を「努力義務」と明記し、基本計画の作成も併せて盛り込まれた。

 基本計画は、自治体が必要な被害者支援を分析し、被害者保護の施策を明記して公表するもので、具体的には「居住の場を確保するため、市営住宅への入居条件を緩和」「母子家庭の経済的支援のための貸付金制度」などがある。

 内閣府は改正に合わせ、関東、近畿など地域ごとに説明会を開き、市町村の担当者に改正の趣旨を説明。「被害者支援には、最も身近な市町村の役割が重要」と作成を促した。ところが、内閣府が調査した結果、計画を設けたのは千葉県野田市、東京都国分寺市、松江市の3市だけ。支援センター設置も札幌市、宇都宮市、神戸市、岡山市、北九州市の5市と、改正後に設けた野田市、名古屋市、山口県宇部市の3市の計8市のみだった。

 DV被害者の支援に携わる長谷川京子弁護士(兵庫県弁護士会)は「被害者の自立支援は、生活保護や保育所など、市町村が持っている権限に大きく左右される。『DVは特殊な問題』という誤解があるのではないか」と指摘している。【酒井雅浩】

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